俺 ガイル ss 八幡 死亡。 捻くれぼっちの筈の彼の死は、何人もの心を締め付ける。

【比企谷小町SS】八幡「…ん?」幼女「」オロオロ【俺ガイル】

俺 ガイル ss 八幡 死亡

八幡side 2017年七月二十八日 練馬区月見台すすきヶ原 午前八時三十分 ドッガーーン!! 目覚めたのは唐突に響いた爆発音だった。 その音に驚き俺と雪ノ下さんは同時に目覚めた。 何事かと思い外を見ると町から火の手が上がっていた。 陽乃「何があったのかな……?」 八幡「分かりませんが取り敢えず外に出ましょう」 そして荷物をまとめる。 荷物をまとめていると中学二年生の時に買ったサバイバルナイフが出てくる。 あのときは若かった。 ナイフがかっこいいと思い勢いで買ってしまったがいつか使うかもしれないと鞄に放り込んでいたのを今の今まで忘れていたのだ。 部屋を出ると他の客も外がどうなっているのか心配になっているが部屋ならば安全だろうと戻る人が多い。 まあ、外での爆発はここから数キロは離れているため自分達は関係ないと思っているのかもしれない。 それでも俺にとっては近いので外に出て現状を確かめに行く。 そしてホテルを出て昨日持ってかれた車を取りに行こうとする。 そして二キロほど歩いていくと信じられない地獄を見てしまった。 八幡「な、なんだこれは!? 一体何が起きているんだ!?」 家は燃え、車は道に投げ出され、人はゾンビと化しながら生きている人へ群がっていく。 もはやゴーストタウン等というレベルで済まされるものではなかった。 「あああああああああああああ!!!」 男の叫び声が辺り一帯に響き渡った。 八幡がそちらの方を振り向くと数体のゾンビ達が群がりながら死体を食べていた。 恐らく先ほどの悲鳴は断末魔だったのだろう。 陽乃「うぷっ……」 陽乃さんが見ていて顔を青くしながら吐きそうになっている。 俺だってかなり気分が悪くなっている。 許されるものなら吐きたい気分だ。 だが今、そんなことをしてみろ。 ゾンビに食われて殺されかねない。 俺は吐き気を堪えながら陽乃さんを連れてある建物に隠れる。 そして警察に電話をかけようとするが 八幡「はっ!?圏外!?」 東京の街中なのに圏外という信じられない事態を目の当たりにした。 そして信じられないニュースの通知も入っていた。 東京の練馬区にて緊急事態発生のため練馬区を封鎖と表示されていた。 しかもその緊急事態が何なのか書かれていない。 不自然だ。 これじゃあ、こうなることが分かっていたから封鎖したようなものだ。 落ち着け。 今は緊急事態なのだ。 つまり武器を所持しても罪にはならないだろう。 もっと言えば人を殺したとしても罪にはならないだろう。 という事は下手したらパニックになって襲いかかってくる人がいるかもしれない。 覚悟を決めろ。 どうせ死ぬくらいなら足掻いてやる。 俺はサバイバルナイフを握りしめる。 八幡「陽乃さん…おそらく救助は暫く来ません。 そしてゾンビに殺されるかもしれないこの状況ならパニックになって襲いかかってくる人がいるかもしれません」 俺は一拍おいて言った。 八幡「貴方は自分の手を血で染める覚悟がありますか?」 八幡sideout 陽乃side 八幡「貴方は自分の手を血で染める覚悟がありますか?」 比企谷君が真剣な顔でそう言ってきた。 救助が来る可能性が低いこの状況で追い詰められた人間が取る行動は決まっている。 自分が苦しむくらいなら他人が苦しんだ方がいいと考えて略奪行為やパニックになって殺そうとして来るかもしれない。 恐いのはゾンビだけではないのだ。 だから比企谷君は私に聞いてきたのだ。 戦う覚悟はあるのかと。 正直言えば戦う覚悟なんていきなり言われても固まるものではない。 当たり前だ。 私は平和ボケした日本人だ。 命を賭けた戦いなんてしたこともない。 だけどここで彼に戦えないと言ったら彼は私の分まで戦い、私の分まで傷つくだろう。 そうなったら妹に顔向けできない。 一生罪悪感を背負って生きていくことになるだろう。 彼一人に背負わせる位なら私も戦おう。 不安で仕方ないが二人で共有して支えあえば少しは心も楽になるだろう。 陽乃「比企谷君が戦うなら私も戦うよ」 だから比企谷君。 無茶したら許さないぞ! 陽乃sideout 比企谷side 陽乃さんが戦う意思を示した。 なら方針を決めよう。 車がある道はゾンビで埋め尽くされており取りには行けないだろう。 八幡「陽乃さん。 救助が来ない間、何処かゾンビから身を守れそうな場所は思い付きませんか?」 陽乃「う~ん……避難所とかに設定されている学校とかなら生存者がいるかもしれないね」 八幡「分かりました。 取り敢えず学校に向かいましょう」 そう言ってゾンビから隠れながら学校がある方角へと進んでいく。 その間生存者はいなかった。 死体は食われていてゾンビとなって起きあがる光景が見られた。 何故こうなったのだろうか。 今、考えても仕方ないが自然にこんなことが起こるのだろうか。 そう考えて歩いていると何故か道の脇に拳銃が落ちていた。 近くにゾンビがいないため拾いに行く。 その拳銃はグロック18である。 最近読んでやった材木座の小説のアドバイスで銃について調べたことがあるがまさかこんな時に役に立つなんて……。 グロック18とはフルオート、つまり引き金を引き続ければ、弾がなくなるまで自動で撃ち続けられるようになっている。 そのため大変、危険性が高く、市販はされていないそうだ。 だが何故そんな拳銃がこんなところに落ちているんだ。 いや今はありがたく使わせてもらおう。 幸い弾も一緒に落ちている。 だができれば拳銃は雪ノ下さん用にもう一丁欲しい。 出来れば女性でも扱えるやつを。 陽乃「比企谷君。 拳銃の使い方なんて分かるの?」 八幡「とある厨二病の奴が書く小説のアドバイスをするとき調べたので分かりますが実際に使ったことはありませんね」 初めて使う拳銃を使いこなせるかどうか。 そこに俺達の命運がかかっている。 その後も隠れながら向かっていると通る道の真ん中にゾンビがいる。 幸いなことにこちらには気づいていない。 だがまだ拳銃は使えない。 一体だけだし外す可能性がある。 弾は有限だ。 無駄遣いはできない。 俺は陽乃さんに俺がやられたらこれを持って学校に向かってくださいと言い右手にナイフを持ち、ステルスヒッキーを使いながらゾンビの背後へ静かに近づく。 そしてナイフが届く距離に入った瞬間首をかき切る。 首がコロコロ転がっていく。 上手く行って良かったと内心安堵する。 今のは気づかれなかったが気づかれたときの事もイメージしながら殺った方がいいな。 そして陽乃さんから預けていた拳銃をもらい学校に向かう途中警察官の死体があった。 ゾンビに食い散らかされたらしく損傷がかなり酷い。 肉はほとんどなく骨がむき出しになっている。 警官のホルスターに目をやると拳銃が入っていた。 形からしてベレッタM92のようだ。 知名度が高い銃だ。 性能も信用できるだろう。 弾は食い荒らされていなかった。 俺はベレッタに弾を積め、セーフティを外すと雪ノ下さんに渡す。 八幡「危なくなったら、迷わずに使ってください。 迷ったらその瞬間に死ぬと思ってください」 陽乃「さっきも言ったけど戦う覚悟はできてるよ。 比企谷君」 雪ノ下さんは拳銃を受けとると感触を確かめる。 いつでもトリガーを引けるように確かめているのだろう。 そして学校との距離が後二キロ程になった時に悲鳴が聞こえた。 八幡sideout 聖奈side 何が起こっているのか全く分からなかった。 夏休みなのでいつもより長く寝ているときに爆発音が鳴ったので何があったのかお母さんに聞こうと下に降りたとき私が見たのはお父さんに食われている母だった。 ぐちゃりぐちゃりと音を立てながら母を食べている父の姿を見て何が起こっているのか理解できなかった。 そして母を粗方食べると今度は私に向かってきた。 私はようやく正気に戻り玄関の近くに立て掛けてあったテニスラケットを振り父だったものを叩き飛ばした。 そして私は外に出て助けを呼ぼうとしたが外に広がっていたのは地獄そのものだった。 燃え広がる炎に人を食らうゾンビが闊歩する地獄絵図が目の前に広がっていた。 聖奈「何…これ……」 昨日まで普通に挨拶していた。 お隣さんや元気に走り回っていた子供が死体となって目の前にある。 その事実にただただ恐怖した。 聖奈「嫌……何、で…こんなことに……」 立ち尽くし呆然としているとゾンビが私に気づいたのかうめき声を上げながら迫ってきた。 私は直ぐ様走り出して逃げ出した。 もう走り始めてから何分立ったのだろうか、到底私に分かる訳がなかった。 殺されるという恐怖と未知の生命体に対する嫌悪感で私の頭はまともに機能していなかった。 怖いよ…誰か助けて…… その言葉が頭によぎるのは何回目だろうか。 だがもう今まで頼ってきたお母さんやお父さんはいない。 誰にも頼れない。 そう考えると生きていける気がしなくなる。 聖奈「はっ…、はあ、はあ…。 」 ようやく建物の物陰に隠れて私は息を落ち着かせることが出来た。 一瞬、せき込みたくなったが必死に我慢した。 いま見つかったら一貫の終わりなのだから。 テニス部で鍛えた足で一時間近く走り、小学校との距離は後二キロ程に近付いている。 学校ならば避難所にも指定されているので生存者がいるという希望があるからだ。 だがいたる所で火災が発生しており、道を塞いでしまい学校へは遠回りしなければ行けなかったため時間がかかったのだ。 後にこの遠回りが功を奏するとは思いもしなかった。 私が学校へと走り出した時、ゾンビが私を見つけて追ってきた。 もう何度めか分からないチェイスが始まった。 ヴワアアアアアァァァァ。 そううめき声を上げながら追ってくる。 だが幸いなことに足自体はそこまで速くないので問題なく学校へ行ける。 そう思っていたが。 グルルルルルルルル。 なんと犬までゾンビ化していたのだ。 しかも元が犬のためかスピードが普通のゾンビよりかなり速い。 このままでは追い付かれてしまう。 それに焦ってしまったせいか足がもつれて私は転んでしまった。 ゾンビ犬が私のそばに迫ってきている。 ラケットで戦うこともあの速度では難しい。 詰みの状態だ。 聖奈「いや!!、来ないで!」 そう叫んでもゾンビ犬は近づくことをやめない。 舌を出しながら、よだれを垂らす。 私はエサにすぎないの?学校で友達と過ごしたり、恋愛をしたり、結婚して子供を作るという幸せすら見せてもらえず終わるの。 嫌だ……、このまま死ぬのは嫌だ。 聖奈「誰か!! 誰か助けて下さい!!」 どうせ、誰も来ないと分かっているのにわずかな可能性を信じてしまう。 ゾンビ達にとっては悪足掻きなのかもしれない。 それでも可能性にすがってしまう。 それが人間の心理なのかもしれない。 そして神様は微笑んでくれた。 犬が叫びながら私に飛びかかってくる。 私はもう駄目かと目をぎゅっと閉じる。 するとパンパンパンと乾いた音が響く。 そして何かが倒れる音が聞こえた。 恐る恐る目を開けるとそこにはゾンビ犬が横に倒れていた。 頭と胴体を撃ち抜かれて。 ??「大丈夫か!?」 そして私を助けてくれた男性と綺麗な女性が私に近づいてくる。 男性の方は目付きが鋭く怖いが怪我をしてないか等、私の事を本気で心配してくれている。 私は緊張の糸が切れて今にも泣きそうになった。 聖奈sideout 八幡side 学校に向かう途中、女の子がゾンビ化した犬に襲われそうになっていた。 俺は咄嗟に銃を構えトリガーを引いた。 フルオートなのでトリガーを引いている間は弾が出るので何発も弾が放たれた。 全て頭か胴体に命中した。 走っている時ならともかくジャンプすれば体を急激に動かせないので当てることができた。 そして女の子に近づくと今にも泣き出しそうになっていた。 ゾンビ犬に襲われたショックと腐った目の奴が助けに来たことのダブルショックを受けたのか? 八幡「ああ~ごめんな。 助けにきたのが俺みたいな奴で」 聖奈「何、言ってるんですか…本当に、ヒック、助けてくれて、ヒック、ありがとうございます……」 女の子は泣きながらお礼を言ってくる。 とにかく助けられて良かった。 だが俺達の後ろにはゾンビが迫ってきているので急いで女の子の手を引いて近くにある倉庫の中へ入る。 音からするにゾンビ達は通りすぎていったようだ。 自己紹介は必要だよな。 八幡「俺は比企谷八幡。 高校三年生だ」 聖奈「私は緑川聖奈です。 中学二年生です……さっきは助けてくれてありがとうございました」 陽乃「私は雪ノ下陽乃。 大学三年生だよ。 よろしくね聖奈ちゃん」 そして自己紹介を終えると緑川は今まであったことを説明した。 母親がゾンビとなった父親に食い殺されたこと。 近所の人が殺されていて恐怖したこと。 一人で恐かったことを。 八幡「緑川、お前はどうするんだ。 このまま俺達と一緒に行動するのか?」 聖奈「はい……もう一人は嫌なんです……」 まだ中学生の子供が死体を見て恐怖するなという方が無理だろう。 死が自分に迫っていたら誰かに助けて欲しいと叫ぶのは当たり前だ。 俺は緑川を抱き寄せる。 八幡「俺達が生きている間は守ってやる。 だから戦う時は戦え。 今は人殺しとか何だの言ってる場合じゃないからな」 ??「その…人の……言うとおりだ…」 その声に気づき倉庫の奥へと進むとゾンビの死体と更に奥の壁に酷い怪我をした警官がいた。 おそらくだがもう助かりそうにもない。 警官「お嬢ちゃん…今戦うことを……躊躇えば待っているのは……死だけだ……だから…近くにいる男の人は君が戦えるか……聞いたんだ……生き残りたいなら…お嬢ちゃんも…戦うことを…覚悟した方がいい……」 この人は死にかけているにも関わらず聖奈を気に掛けている。 何でこんな人がこんな目に遭わなくちゃ行けないんだよ! 警官「拳銃は…さっき来ていた……少年に…上げてしまったが……君達には……これを……」 そう言って渡してきたのは警察署の内部の地図であった。 少年にはこれを渡すことを忘れていたらしい。 この傷で頭が回りきらなくなってるらしい。 警官「そこには…武器や…弾薬がある……立ち寄ることに……なったら…行ってみてくれ…」 八幡「はい……ありがとうございます……」 そう言うと警官は血を吐きながら亡くなった。 死に顔は俺達の手助けをできたためか安堵していた。 俺はやり場のない怒りを覚えた。 どうしてこんないい人が死ななくちゃ行けないんだと。 八幡sideout のび太side 2017年七月二十八日 練馬区月見台すすきヶ原 午前9時30分 ママに帰ってきたと挨拶に行こうとドラえもんと一緒に階段を降りていく。 それにしてもやけに静かな気がする。 そして台所にはいるとママがいた。 のび太「あっ、ママ! ただいま!」 座りながらぐちゃり、ぐちゃりと音を立てている。 のび太「ママ……? どうしたの?」 のび太も違和感を覚え、呼ぶが返事は返ってこない。 そして大声で叫んだ。 のび太「……? ねぇってば!!」 ブシャッ!! そう言い終えた瞬間だった。 赤い何かがあたりに飛び散っていき、それはのび太の顔にもかかった。 のび太「……え?」 目の前の光景にのび太は唖然としてしまった。 ママはゆっくりとこちらの方に振り返ったのだが、その顔はもう母親としての面影は全く残っていなかった。 そう、まるで…… ゾンビ……。 のび太「ママ……なの?」 ゾンビが人の質問に答えられるわけがない。 しかし、服装や髪形から明らかにママである事は分かった。 のび太は目の前の光景を疑った。 アアアアアァァァ!! ゾンビと化したママはゆっくりと立ち上がるとのび太とドラえもんに対峙した。 そして、それと同時にのび太の足元に黒いボールらしきものが転がってきた。 いや……、ボールなのだろうか? その謎の球体には黒い毛が生えている……。 「うそ……パパ!?」 そう、のび太がボールだと思ったものはパパの生首だったのだ……。 しかも、右目は抉り出されていて元の人の面影は残しているものの全く原型を留めていなかった。 その光景にのび太は混乱した。 のび太「う、うわああああああああ!!!」 ドラ「危ない!!のび太君!!」 ママが襲いかかってきた瞬間ドラえもんが前に出てママに向かって突進した。 のび太「ドラえもん!!」 ドラ「僕の事はいいから、君は早く逃げるんだ!」 ドラえもんにそう言われて急いで家から出ると地獄のような光景が広がっていた。 家は燃えており、道には死体が散乱しており、それにゾンビが群がっている。 のび太「何がどうなってるんだ!」 三日前まで平和だった町がここまで荒れ果てるなんて。 どうしてこうなったのか考えても分からなかった。 そしてゾンビが僕に気づいたのか。 ゆっくりと近づいてくる。 僕はそれをみて走り出した。 僕の走る速度は同年代からみても遅いがこの距離なら大丈夫だ。 僕は二十分は走り、ゾンビを撒くため見えてきた倉庫へと隠れた。 倉庫の中は薄暗く見えにくい。 すると音で僕が入ってきた事に気づいたのか誰かが声をかけてきた。 警官「だ……誰か…いるのか……?」 のび太「……!!!」 その人は警官だった。 警官さんは頭から血を流しながら顔をゆっくりと上げた。 一部、頭蓋骨が見えたのは気のせいだと思いたい……。 警官「……し……少年……良くここ…まで……ぐふっ!」 警官はその傷の深さからか吐血した。 のび太「だ、大丈夫ですか!?」 警官「うっ……、おれは…もうすぐ……死ぬだろう…。 」 のび太「そ、そんな……!」 警官「分かるんだよ……、意識が……遠のいてきて…ごほっ!」 僕ではこの人を助けることはできない。 ドラえもんがいれば話は別だったかもしれないが。 今、いないドラえもんの事を考えても仕方がない。 警官「少年……君は…武器は…持っているのかい……」 のび太「いえ……持ってません」 ゾンビから逃げるのに夢中で武器になりそうなものなんて持っていなかった。 警官「なら…俺の…相棒を……持っていけ…死ぬ奴が……持っている…よりは……いいだろう…」 警官さんはホルスターに入ってる銃を使えと言っているのだろう。 でも本物の銃なんて……。 警官「今は……非常…事態……だ……使っても……捕まん……ないよ……それに…使わなければ……君が…死ぬかも……しれない」 そう言われても僕は中々銃を手に取れないでいた。 そして入り口から音がした。 何かと思ったが僕には最悪の事だった。 アアアアアァァァ! どうやらゾンビが入ってきたらしい。 足音からして一体だけのようだが。 それでも最悪なことには変わりない。 警官「早く……銃を!……使わなければ……死ぬんだ……早く!……」 警官さんにそう言われて僕は銃を手に取る。 ハンドガン系の武器はドラえもんの秘密道具、ショックガンで使い慣れてはいるが大丈夫だろうか。 警官「いいか……胴体に……何発当てても……意味が…ない…頭を……狙うんだ」 のび太「はい!!」 僕はそう言ってゾンビの頭部、目掛けて引き金を引いた。 ドン、ドンと乾いた音が鳴りゾンビの頭に命中する。 ゾンビは前へ倒れ動かなくなった。 警官「やった……ようだな……学校に……行け……そこに……避難所が……」 のび太「分かりました。 拳銃、ありがとうございます」 僕はそう言って倉庫の裏口から出て学校へと向かう。 距離は後、一キロ程になったとき、爆発が起き、さっきまで塞がっていた道からゾンビが迫ってきていた。 しかも元の道から来ていたゾンビにも囲まれてしまい絶体絶命の状況に陥った。 のび太sideout 八幡side 俺達は警官の死を見送ると倉庫の裏口から外へ出て学校へと向かった。 そしてその途中でゾンビに囲まれている少年を見つけた。 あれではおそらく逃げられない。 八幡「俺があいつを助けます。 陽乃さん達は先に学校へ向かってください」 陽乃「私も戦う覚悟は出来てるよ。 一人より二人の方が助けられる確率は上がるよ?」 八幡「それじゃあ、緑川を守れませんよ。 約束したじゃないですか俺 達 ・ が守るって……だからお願いします……」 雪ノ下さんはため息を吐くと仕方がないという風に言った。 陽乃「分かったよ……君はこういう時、人を助ける人だからね。 例え自分が傷ついても…ね。 ただしちゃんと帰ってきてね…お姉さんとの約束だぞ」 俺は分かりましたと言うとゾンビがいる方へ向く。 緑川が心配そうに俺を見つめているので頭を撫でて必ず戻ってくると言うと頑張ってくださいと言い陽乃さんと一緒に学校へと向かった。 そして俺はステルスヒッキーを使いながら四十メートルまで距離を縮めた。 八幡「こっちだ!!」 そう言いながらゾンビの頭を次々と撃ち抜いていく。 そして俺に気づいた少年がゾンビが倒れてできた穴から囲まれていた状況から脱出する。 のび太「ありがとうございます!」 八幡「礼は後だ!早く行くぞ!」 そう言ってゾンビから背を向けて走り出すとすさまじい速度で追ってくる複数の気配と音が聞こえ振り向くとゾンビ犬が迫ってきていた。 数はおそらく十匹もいる。 八幡「お前、銃を持っているなら狙え!当てなくてもいいから牽制するつもりで撃て!」 高速で走ってくる犬に銃弾を当てるのは俺でもなんとか当てられる位だ。 小学生くらいの子供には難しいと思ったが、なんとこいつは動きながらゾンビ犬に銃弾を命中させていく。 俺も銃弾を当てていくがまだ小学生くらいの子供にこんなことができるなんて天性の才能だな。 のび太も隣の青年が動きながらゾンビ犬に銃弾を当てていくのを見てこの人も射撃がうまいと感心していた。 だが不幸なことに最後の一匹となったときのび太も八幡も弾切れを起こしてしまった。 ゾンビ犬はすぐそこまで迫っておりマガジンを変える暇もない。 ゾンビ犬がのび太に飛びかかろうとした瞬間、八幡はナイフを持ちながら怪我を覚悟で前に出る。 そしてゾンビ犬が噛みつこうとした瞬間どこからか銃弾が飛んできた。 ゾンビ犬が倒れるが八幡が気になったのはどこから撃ってきたのかだ。 音が聞こえなかったことから相当な距離が離れていて、高さがある建物から狙って狙撃をしたということだ。 そして銃弾が飛んできた方角を見る。 八幡「まさか、あそこから撃ったのか…」 その方角には700メートルは離れているが高さがかなりあるビルがあった。 おそらくあそこから撃ったのだろうが狙ってやったのなら相当な腕だ。 俺は少年を連れてその場をさっさと離れて学校へとたどり着いた。 陽乃さん達は見なかったから先に中へ入っているのだろう。 すぐ後ろにはゾンビが迫ってきているので急いで門を閉めて学校の中へと入っていった。 八幡sideout ??side 700メートルも離れた狙撃なんて滅多にしないが成功して良かった。 それにしてもケルベロスの動きを捉える動体視力から動きながら弾を命中させる正確性。 軍なら欲しくなる人材だ。 ??「それに比べてうちの部隊と来たら俺以外全滅とか……弛みすぎだろ」 そうぼやいた青年はスコープ越しから彼等を見送るとビルから出ていく。 ??「さて、研究所はどこにあるのか……スパイだって感づかれたからここに送り込んだんだろうしな」 そう言って青年は向かってくるゾンビをサブマシンガンで蜂の巣にする。 この青年が八幡達と出会うのはまだ先の話。 ~~~~ キャラ紹介 緑川聖奈 中学二年生 テニス部 部長 生徒会長 14歳にしてスポーツもでき勉強もできる才女。 中学一年生の時に生徒会長に推薦され当選した。 その為たくさんの人から好かれている。 順風満帆な人生を歩んでいたがバイオハザードによって一変した。 テニス部のためラケットでゾンビを殴打することもある。 運動部で鍛えられた為、足が速くスタミナもある。 八幡と陽乃には助けられた恩があり八幡は気になる異性になった。 14歳にした理由は八幡との年齢差を縮めるため。 無理のないIではのび太がロッカーから救出しますが本作では八幡と絡ませるために学校に向かう途中で助けることにしました。 本作では八幡や陽乃と組んで探索に出てもらいます。 本作のヒロインは陽乃と聖奈で行きます。 陽乃は頼れる姉、聖奈は頑張る妹のようになりそうです。 姿はのびハザ2の聖奈さんをイメージしてください。 作者はあれが一番綺麗だと思ってます。

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【俺ガイル】比企谷八幡「奉仕部を辞めることにするわ」【葉山】

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俺ガイル7巻終了直後からの話です。 秋の修学旅行シーズンなのでちょうどいいかなと。 中身は保障できません。 駅のホームに滑り込んできた新幹線に乗り込むと、俺は2人掛けのシートの窓側に席を取った。 「ねえ八幡、隣に座ってもいい?」 戸塚が笑顔で声をかけて来た。 心の奥底で熾火を仄暗く燻らせていた俺にはその笑顔は眩しすぎた。 俺はそんな戸塚を直視することができない。 「ああ……」 窓の外に目をやりながら、気の無い返事をした。 「八幡、元気ないね……。 どうしたの?」 昨夜の蛯名さんへの嘘告白のことを知らない戸塚は、心配そうに俺の顔を覗き込む。 「ちょっと、その……疲れたんだ」 目をそらしたまま答えた。 「そっかぁ、心配したよ。 僕もちょっと疲れたよ」 何も知らない戸塚はフフとくすぐったい声をあげた。 33 ID:9rH66bN8o 今日は対面席にはせずにそのままのシートの向きで座った。 由比ヶ浜から「一緒に座ろう」と声がかかならなかったからだ。 そっと一人にしていて欲しい俺にはその方が好都合だった。 昨晩、寝つきが悪かったせいだろうか。 プシューとドアが閉じた頃には、俺は既に眠りの中にいた。 新幹線が走り出していたことには全く気づいていなかった。 次の停車駅の名古屋に着いたところで俺は目を覚ました。 どうやらぐっすり眠っていたようだ。 見覚えのある京都駅のホームとは違う景色が広がっていた。 自分の気付かぬところで周囲が変化し、ただ一人取り残されたような気分になって、不意に不安 を覚えた。 戸部の依頼から端を発した今回の一連の出来事。 そこに俺は強烈な一石を投じてしまった。 苦し紛れに投じた一石があまりにも重く、あまりにも大きな波紋を広げてしまった。 その広がりの大きさは投じた本人にさえわからない。 俺を取り巻く環境にも間違いなく大きな波紋を与えたことだろう。 一体、この先奉仕部はどうなるのだろうか。 新幹線が再び走り出すと、俺はそっと席を立った。 75 ID:9rH66bN8o デッキに出ると乗降口まで行った。 進行方向側の壁にもたれかかると、窓外の景色をただぼんやりと眺めた。 遠くの景色はゆっくり流れていくのに反比例して、近くの景色は濁流に飲み込まれるが如く影形も わからないまま流されていった。 名残惜しむように流れ去っていった近景に目をやるが、すぐさま視界の遠く彼方へと消えていった。 今回のことをきっかけに雪ノ下や由比ヶ浜もこうやって俺から遠ざかっていくのかもしれない。 そんなことを考えながら、いつまでも車窓の景色に目をやっていた。 96 ID:9rH66bN8o 架線柱とコンクリート壁一辺倒だった景色が突然不規則に変化した。 不意打ちを食らったような形で俺はハッと我に返った。 どうやら三島駅を通過するところだった。 プラットホームが途切れると、再び姿を現したコンクリート壁の上に雲一つないスカイブルーの 空が広がっていた。 ふと、富士山を見逃していたことに気付いた。 遠く彼方を覗き込もうと窓に近づいてみたが、すでに富士山の姿はなかった。 せっかく見ることができたはずの富士山を見逃したことを後悔した。 67 ID:9rH66bN8o 俺の前後車両は総武高の生徒で占められ、貸し切り状態となっていた。 一般人がそこを行き来するわけでもないので、デッキは静寂そのものだ。 ひょっとしたら俺がボーッとしている間にトイレとの往復で誰かやってきていたのかもしれない。 しかし、俺の知っている範囲内ではデッキには誰も立ち寄ってはいなかった。 今は誰とも顔を合わせたくない心境だ。 このまま東京駅までこうしていたいものだと願った。 67 ID:9rH66bN8o そんな時、ガチャとトイレの施錠が解かれる音がした。 総武高の生徒が用を足しに来ていたようだ。 そんなことに気付かないほど俺は放心状態でいたようだった。 続いてトイレの扉が開かれ、再び閉まる音がした。 しかし、それに続いて聞こえてくるはずの音はなかった。 客室へと戻る扉の開閉音が聞こえない。 まだ誰かが近くにいるのだ。 それでも、俺は窓外に向けた視線を動かすことなく、そのまま壁にもたれかかったままでいた。 すると、コツコツと足音がこっちに向かってきた。 そして、俺のすぐ近くでピタリと止んだ。 「いったいこんなところで何をしているのかしら?」 その声の主は雪ノ下雪乃だった。 「別に」 窓の外を眺めながら答えた。 次の瞬間、ファンと音を立てて車両はトンネルに入っていった。 不意に雪ノ下が窓に映し出され、意図せず俺の前にその姿を現した。 「何か用か?」 鏡のように映っている雪ノ下に向かって尋ねた。 「特にないわ」 そう言い終えるか終えないかするうちにトンネルから抜け出した。 そして、明るい日差しが雪ノ下の姿を消したかと思うと、すぐに次のトンネルの中に入った。 再び鏡のようになった窓にはもう雪ノ下の姿は映っていなかった。 21 ID:9rH66bN8o やがて景色の流れる速度が緩やかになってきたことに気付いた。 遠くに目をやると都会の風景に近づきつつある。 次の停車駅の新横浜に近づいてきたのだろう。 こうして一人静かに時を過ごしていられるのもあともう少しだ。 扉の向こうからざわついた声が聞こえてきた。 何とも騒々しい。 一瞬にして俺の心一面に黒い靄が立ち込めてしまった。 31 ID:9rH66bN8o 「ヒッキー、そんなところで何やってんの? さいちゃんが心配してるよ」 俺に声をかけてきたのは由比ヶ浜結衣だった。 「もうそろそろ新横だよ。 早く戻ってこないと降り遅れてしまうよ」 相変わらず視線を動かす気の無い俺には、由比ヶ浜がどんな表情をしているかわからない。 ただ口調はいつもプンスカするときと同じだった。 「どうせまた次は品川に停まるだろ」 「またそんなこと言う」 やっぱりいつも呆れた時に言うのと同じ口調だった。 「だが、戸塚が心配しているとなればそれは一大事だな」 そう言うと、由比ヶ浜とは目を合わさずに彼女の横をすり抜けて自分の席へと戻った。 立ち疲れのせいだろうか。 シートに体を預けると、再び眠りに落ちた。 13 ID:9rH66bN8o 東京駅に着くと解団式が行われた。 団長の学年主任から「家に着くまでが修学旅行だ」とありきたりな言葉を聞いた後、学級ごとに 解散となった。 さて、どうしようか。 さっさと家に帰りたいところだが、これから10学級400人規模の総武高生が一路千葉へと向かって 行く。 まさに民族大移動だ。 この人いきれの中に身を投じるのは嫌だった。 誰にも気兼ねすることなく一人静かに時を過ごしたかった俺は、改札口へと向かう集団を尻目に 丸の内口を出ていった。 丸善にでも寄って本でも買っていくかと考えたが、俺は大きな荷物を抱えていた。 このまま入店すれば、他人の邪魔になるのは明白だ。 本を探すことをあきらめた俺は当てもなく歩き始めた。 信号を渡ると行幸通りの中央を貫く遊歩道へと入った。 手前の方には復元駅舎を納めようとカメラを向ける人たちやスケッチにいそしむ人たちがいた。 そのちょっと奥に目をやると都会のど真ん中だというのにほとんど人はいなかった。 そこで遊歩道を中ほどへ進み、人気のないところまで来るとベンチに腰を下ろした。 88 ID:9rH66bN8o 見上げれば頭上にどこまでも澄んだ青い空。 まるで俺への当てつけのようだった。 すぐに秋晴れの空を見上げるのをやめて、足元を鳥瞰した。 俺にはこっちの方がお似合いだ。 どうしたものか自然とため息が出てきた。 ため息をつくのももうこれで何度目になるのだろうか。 どこかで聞いた「ため息をついた分だけ幸せを逃す」という言葉を頭に浮かべていると、ガラガラとキャリーバッグを 引く音がこっちに近づいてくることに気付いた。 今はそっと一人にしていて欲しい。 できれば、さっさと通り過ぎて貰いたいものだ。 音のやってくる方向に視線を向けることもなく、足元でせわしく動き回っている蟻の様子を眺めていた。 67 ID:9rH66bN8o だんだんと音が近づいてきた。 相変わらず視線の先は蟻に向けていたが、意識は近づいてくる音に向かっていた。 皇居に観光しにでも行くのだろうか。 コインロッカーにでも荷物を突っ込んでおけばいいのに……。 そういえば、俺もコインロッカーに預けておけば、丸善で小一時間は時間を潰すことだってできたんだよな。 だが、気付くのがあまりにも遅かった。 ベンチで気怠く過ごしているうちに、動くのがすっかり億劫になってしまった。 どうせ誰もいないし、いっそのことバッグを枕にしてベンチの上で寝っ転がっていようか。 そんなことを考えていると、俺の目の前でガラガラという乾いた音が止んだ。 85 ID:9rH66bN8o 目の前には見覚えのあるローファーが見えた。 視線を上に送っていくと不機嫌そうに見下ろす顔があった。 相変わらず人を見下す態度が様になっていやがる。 一体この俺に何の用だ。 「こんなところで何をやっているのかしら」 言わずもがな雪ノ下雪乃だった。 雪ノ下が何でこんな所にいるんだ。 せっかくお前らの事を避けてここまで来た意味がないだろ。 「お前の方こそこんなところに何か用事か。 まさか、そのキャリーバッグを引いたまま自主研修の続きをしに 皇居にでも行くのか?」 勝手に人の跡をつけてきた挙句、そんな不機嫌そうな態度を取られようもんなら、こっちだって嫌味の一つ も言いたくなる。 「地べたなんて見つめていて相変わらず卑屈なのね、卑屈やくん」 俺の言葉を無視した雪ノ下はいつものように微笑むこともなくこう言った。 正直、真顔で言われると辛い。 嫌味でも皮肉でもとにかく何でもいいから、笑顔で言われた方がどれだけ気が楽なことか。 「何お前、喧嘩でも売りに来たの?」 雪ノ下から返答はなかった。 無表情での俺を見つめる雪ノ下は、あなたの問いには一切答えるつもりはないわという空気をまとっていた。 「最後だから……。 いえ、あなたに話しておきたいことがあったから来たのよ」 奥歯に物が挟まったような言い方が気になったが、あえてそこには触れなかった。 もともと自分のことを多くは語ろうとしない奴だ。 所詮触れたところでどうせ無視されるのが関の山だろう。 「何だよ、話ておきたいことって」 やはり、雪ノ下は俺の問いには答えない。 俺の隣にでも座るのかと思っていたが、相変わらず見下ろすように立っていた。 重々しい空気がここだけ漂い始めてきた。 これ以上、無言のまま雪ノ下のことを見つめているのが苦痛に感じられた。 雪ノ下から目をそらそうかと考えていたら、それを感じ取ったのか雪ノ下の口が再び開かれた。 30 ID:9rH66bN8o 「ゆうべ、あなたに『うまく説明ができなくて、もどかしいのだけれど……』って言ったことを 覚えているかしら」 「ああ」 覚えているさ。 一語一句しっかりとな。 あいにく記憶力は良いもんでな。 40 ID:9rH66bN8o 「あれから考えてみたの。 冬の訪れが近いことを知らせる冷たい風だった。 「話しておきたいことはそれだけよ。 ……さようなら、比企谷くん」 雪ノ下は右手で前髪を払うと、キャリーバッグの柄を掴み、くるりと向きを変えた。 そして、そのまま振り返ることなく去っていった。 俺はあまりにも突然の出来事に思考が停止した。 「だった」の部分を強調し、過去形での告白をした瞬間の雪ノ下の目はどこか寒々としたものだった。 その目に射すくめられてしまった俺は声を発するどころか、身動き一つとることさえできなかった。 まるで、ギリシャ神話に出てくるメデューサの話のように。 遠ざかる雪ノ下に何も反応できないまま、俺はベンチの上で固まってしまった。 88 ID:9rH66bN8o 「あれから考えてみたの。 なぜうまく説明できなかったのかを……」 「……」 今まで雪ノ下から嫌悪、不快、軽蔑といった表情を数々向けられてきたが、昨晩のあんな表情は 初めて見た。 あの表情は、あの眼差しは一体何だったのか俺も気になっていた。 冬の訪れが近いことを知らせる冷たい風だった。 「話しておきたいことはそれだけよ。 ……さようなら、比企谷くん」 雪ノ下は右手で前髪を払うと、キャリーバッグの柄を掴み、くるりと向きを変えた。 そして、そのまま振り返ることなく去っていった。 俺はあまりにも突然の出来事に思考が停止した。 「だった」の部分を強調し、過去形での告白をした瞬間の雪ノ下の目はどこか寒々としたものだった。 その目に射すくめられてしまった俺は声を発するどころか、身動き一つとることさえできなかった。 まるで、ギリシャ神話に出てくるメデューサの話のように。 遠ざかる雪ノ下に何も反応できないまま、俺はベンチの上で固まっていた。 「お兄ちゃん、朝だよ。 起きてー」 いきなり小町に布団をめくられた俺は泰平の眠りから覚まされた。 「なにすんだよ、小町。 寒いだろ……」 「お兄ちゃんこそ何やってるの? 昨日、小町とららぽーとに行くと約束したでしょ」 「約束なんかしてねーよ。 家に帰ると、おみやげに飢えた小町が手ぐすねを引いて待ち構えていた。 「お兄ちゃん、『おみやげリスト』を渡したのにどうして買ってこないの!」 「北野天満宮のお守り買って来てやったからそれでいいだろ。 学問の神様だぞ。 ありがたく貰っとけよ」 「それはありがと。 生八つ橋とよーじ屋のあぶらとり紙はいいとして、まだあるでしょ」 ああ、なんかどうでもいいことが書いてあったよな。 「お兄ちゃんの素敵な思い出話だよ」 「あー、ないない」 「いやいやそんなことないでしょ。 結衣さん、雪乃さんとなんかあったりしなかったの?」 あったよ、大有りだ……。 小町ちゃん、傷に塩塗るのはやめてもらえないだろうか。 「いや……、なんにもねーよ」 一瞬、言葉に詰まってしまった。 それを見逃す小町ではなかった。 こと俺のことに関してはエキスパートだ。 伊達に14年以上も俺の妹をやっていない。 そんな小町の優しさだろうか。 何かを感じ取った小町はそこから話題をそらしてくれた。 30 ID:9rH66bN8o 「お兄ちゃん明日は罰として小町と一緒にららぽに買い物に行くのです。 修学旅行で小遣いを全然使 わなかったリッチなお兄ちゃんは、小町のために散財するのです。 さもなければ、預かったVITAは小町 のものになるのです」 VITAを人質に取っているので、強気な発言をする小町。 だが、それくらいで言いくるめられる俺ではない。 「俺にはまだスマホがある。 VITAはお前にやるわ。 俺の両手には、買い物袋がいっぱいだ。 これらの袋は全てハイエナの如く買い漁った小町のものだ。 いや待て、代金を支払ったのは全部俺だ。 北野天満宮のお守り以外に何一つ土産物を買わなかったので、罰として小町の買い物に付き合わされ たのだ。 結局、小町に手渡されたリストに載っていた以上の出費をしてしまった。 何のために修学旅行中に金を使わないようにしていたのかわかったもんじゃない。 68 ID:9rH66bN8o 『間もなく終点、海浜幕張、海浜幕張。 またこの荷物を持って歩くのか……。 そううんざりしながら窓の外を眺めると雪ノ下の住むマンションが目に入った。 すると昨日の行幸通りでの雪ノ下が口にした言葉が頭に浮かんだ。 過去形ではあったが、この俺にそういう感情を持っていたのだ。 雪ノ下からはそんな素振りは全く感じられなかったが、本人がそう言ったのだから間違いないだろう。 しかし、「だった」という言葉でもう完結してしまっている。 だから、もう済んだことだ。 それよりも俺は別の言葉にずっと引っかかっていた。 93 ID:9rH66bN8o 「お兄ちゃん、早く、早くー」 この小町め、誰が荷物を持ってんだよ。 俺の前をポーチ一つの身軽な格好で歩いていた小町はさっさと改札を出ると、手招きしながら俺を呼ぶ。 「待て、小町。 そんなに急かすななよ」 改札を出たところで再び雪ノ下のことを思い出してしまった。 雪ノ下と2人で由比ヶ浜の誕生日プレゼントを買いに行った時のことだ。 そういえば、ここで雪ノ下と別れた。 あいつの家は北口だったな。 そんなことを思い浮かべていると、昨日からずっと引っかかっていた言葉がまた頭をよぎった。 19 ID:9rH66bN8o 不吉な予感がした。 「えっ……。 何これ? えっ! お、お兄ちゃん、ちょっと待ってー!」 急にいてもたってもいられなくなった俺は小町に荷物を押し付けると、雪ノ下の家に向かって走った。 32 ID:9rH66bN8o 雪ノ下の住むマンションにたどり着くとオートロックのドアが開けっ広げになっていた。 マンションの前に一台のトラックが止まっていた。 愛想良い笑顔をしたゴリラさんが青のつなぎにつば付き帽をかぶった絵が荷台にプリントされていた。 そして、ゴリラさんとお揃いの格好をした人物が何やら高そうな家具というより調度品の積み込みをしていた。 どうやら引っ越しのようだ。 マンション内に難無く入ることができた。 思わぬ天祐を得たが、不吉な予感がより現実味を帯びてきた感じがした。 養生シートで覆われたエレベーターに乗り込むと最上階を目指した。 エレベーターを降りると目の前の光景に狼狽してしまった。 不吉な予感が的中してしまった。 まさかとは思っていたが、引っ越していたのは雪ノ下の部屋だった。 マンションを出ると、秋の日差しが眩しかった。 俺は白昼夢を見ていたのだろうか。 雪ノ下の部屋を覗きに行ったら、玄関には男物の靴しかなかった。 雪ノ下はもうどこかに消えてしまったのかとさえ思った。 茫然自失として来た道を引き返していると、前方から息を切らしながら走ってくる小町の姿が見えた。 「お兄ちゃん、急に走り出してどうしたの? 何回も電話かけても出ないし」 心配そうに小町が俺の顔見上げて言った。 「ゆ、雪ノ下が消えた……」 そう告げると急に膝からストンと力が抜けて崩れ落ちてしまった。 71 ID:9rH66bN8o 「お兄ちゃんはこのままでいいの?」 事の顛末を知った小町に強い口調で言われてしまった。 あんまり俺のことをそう責めないでくれ。 俺だってそれくらいわかっているさ。 「お兄ちゃん、雪乃さんに電話した?」 「いや、してない。 携帯の番号もメアドも知らない」 「相変わらずダメダメだね、お兄ちゃん。 半年も一緒にいて何をやってんだか……」 呆れ口調でそう言う小町も雪ノ下の連絡先を知らない。 13 ID:9rH66bN8o 「結衣さんに電話してみたら?」 「いや、由比ヶ浜も雪ノ下の引っ越しは知らないはずだ」 もし由比ヶ浜がこのことを知っていたのであれば、昨日は俺に対してもっと違う接し方をしていただろう。 これでもかとしつこいくらい俺に喰らいついてきたはずだ。 由比ヶ浜にも知らせることはともかく、まずはこの件について知っている人物に渡りをつけなければ ならない。 雪ノ下の連絡先を知っていて、なおかつ事情を知っていそうな人物は……。 一人だけ当てがあった。 俺はポケットから携帯を取り出すと、電話を掛けた。 31 ID:9rH66bN8o プルルルルル……、プルルルルル……。 出ない……。 プルルルルル……、プルルルルル……。 まだ出ない……。 プルルルルル……、プルルルルル……。 「平塚先生、何やってんだよ。 早く出てくれよ」 思わず声に出てしまった。 静かに俺を見守っていた小町が素早く携帯を取り出した。 「小町、結衣さんに電話するね」 ああ、頼むと目で小町に答えた。 小町も了解と目で返してきた。 由比ヶ浜も事情を知っているとは思えないが、少なくとも雪ノ下の連絡先くらいは手に入る。 由比ヶ浜の方は小町に任せて、平塚先生と連絡を取ることに集中した。 9回目の呼び出し音が鳴った。 あと1回待ってダメだったらかけ直そう。 そう思っていたら、平塚先生が電話口に出た。 「どうした、比企谷。 30 ID:9rH66bN8o 「……。 雪ノ下からはすべてが終わるまで誰にも話さないようにと口止めされている」 やはり今回の引っ越しは前もって決まっていたのか。 でも、なんで今このタイミングなのか? 一体どんな事情があるのか? 「そこを何とかお願いします。 このままでは、取り返しのつかないことになってしまうんです!」 「……。 詳しくは聞かないが……、君は修学旅行中に雪ノ下と何かあったのかね?」 「はい。 ありました……。 このまま雪ノ下に何も話せないままどこかに行かせてしまうわけにはいかないのです」 「……。 なら良かろう……。 雪ノ下は留学する。 今日、16時40分のニューヨーク行の便に成田から搭乗する。 私も見 送りに行くかと尋ねたら親御さんも来ないからと丁重に断られた」 「えっ……留学!? 今日の便で……」 そんな急なのか。 いかにも雪ノ下らしいと言えばそこまでかもしれないが、それにしても急すぎる。 89 ID:9rH66bN8o 「そうだ。 これは前々から決まっていたことで、雪ノ下本人はずっと先延ばしにしていたが、今回ばかりは どうにもならなかったようだ……。 親御さんとは修学旅行が終わるまではと折り合いをつけていたようだ」 これで全てが繋がった。 夏休みの千葉村での合宿の時に雪ノ下が言った言葉が思い出された。 無理だと思っていたから そうか、このことだったのか……。 「雪ノ下も奉仕部の部長を務めている以上、君と由比ヶ浜に後ろめたい気持ちがあったのだろう……。 だから、絶対に黙っていてくれと懇願したのだと思う。 67 ID:9rH66bN8o 俺に話しづらいことを教えてくれた平塚先生に丁重に謝辞を述べると電話を切った。 小町の方もすでに電話を終えていた。 隣から俺の話を漏れ聞いていたのだろう。 開口一番こう言った。 「お兄ちゃん、これから成田に行こう! 駅前からバスが出てるよ」 小町は駅に向かって走り出そうとした。 「ちょっと待て。 その前に寄るところがある」 小町のはやる気持ちを冷静に押しとどめた。 「えっ? 何言ってんの? 一刻を争うという時にどこへ行くつもりなの?」 小町は目を点にして尋ねた。 「コンビニだ」 「えっ? 何を悠長なことを言ってるの?」 小町は絶句していた。 小町、お前は大事なことを忘れていないか? 「成田空港は過激派対策でチケットを持っていないと入港できないだろ」 「あっ、そうだった……。 で、まさかお兄ちゃん、雪乃さんを追いかけてアメリカまで行くつもりなの?」 「そんなわけないだろ。 国内線のLCCのチケットを買って空港の中に入り込むんだよ。 ところで小町、今いく ら持っている?」 「……。 ご、500円……」 「俺も1万3000円しかない。 ここから成田のまでの往復運賃も含めると1人分しか買えないかもしれないな。 ……あと、 お前荷物どうしたの?」 冷静になった途端、小町が手ぶらで追いかけてきたことが気になってしまった。 まさか、放置なんてないよね。 お兄ちゃんあれだけ散財したのに泣いちゃうよ。 「コインロッカーに預けてきたよ。 ……って、今はそんな場合じゃない。 早くチケット取らないと!」 そうだ、俺も気にするところを間違っていた。 28 ID:9rH66bN8o コンビニに入ると店内の端末でLCCの当日券を探した。 現在の時刻は14時だ。 離陸まで2時間40分しかない。 国内線だって搭乗手続きは30分くらい前に終了する。 ましてや国際線は出国手続きとかもするからもっと前にゲートのその先へと進むことになるはずだ。 今すぐ空港に向かったところで雪ノ下に逢える可能性は限りなくゼロだろう。 しかし、そんなことを考えている場合ではない。 航空券を検索してみると、LCCといえどもさすがに当日券は高かった。 高校生がおいそれと簡単に買えるような金額ではない。 「一番安いのは……。 17時30分発新千歳行7880円! こんなにするのかよ。 悪いけど、俺一人で向かうから。 60 ID:9rH66bN8o 「わかった。 結衣さんにはあとでかけ直すと言っておいたから、小町から連絡しておくね」 「頼んだぞ、小町」 「うん。 お兄ちゃん絶対雪乃さんに会ってね、絶対だよ!」 「ああ、絶対にだ」 世の中に絶対なんてものはない。 そんなことは俺だって小町だってわかっている。 単なる気休めにすぎないが、それでも口にでも出して言わなければ不安に押しつぶされてしまう。 受験の前に合格祈願にお参りしたり、厄年にお祓いをしたりするのと一緒だ。 いくらお参りしたところでもお祓いしたところでも絶対の安全安心なんて手に入らない。 でも、そうやってでも何かに縋り付きたくなるのだ。 そこに一縷の望みを託して。 こうして14時40分発の高速バスに乗って一路、成田空港へと向かった。 雪ノ下が日本を発つまであと2時間だ。 バスの車内では、まずはじめに携帯でフライト情報を確認して出発ゲートを確認した。 第1ターミナルビル4階の南ウイングだということがわかった。 それから、ターミナルビルの地図を確認して頭の中に位置情報を叩きこんだ。 念のためすぐに確認できるようにpdfもダウンロードし、すぐに見られるような状態にしておいた。 その間、小町と由比ヶ浜からメールが届いていた。 2人には悪いが残り限られた時間の中では優先順位をつけて物事の処理に当たっていかなければならない。 2人とのメールのやり取りは後回しにした。 由比ヶ浜は今日は家族でキウイフルーツ狩りに出かけているそうだ。 県内にはいるようだが、家族と一緒では身動きも取れまい。 小町からの電話の後すぐに雪ノ下の携帯に何度も電話やメールを送っているが、ずっと留守電のままになっ ていて返信はなしのつぶてだという。 身動きが取れず、連絡もつかずとなれば自由に動き回れる俺以上にもどかしく感じていることだろう。 その由比ヶ浜からの伝言も託されたのだ。 何が何でも雪ノ下とは逢わなければならない。 35 ID:9rH66bN8o 空港に近づいてきた。 間もなく検問があると車内アナウンスがあった。 小町と由比ヶ浜に「もうすぐ到着する。 後で連絡する」とメールを送った。 検問所では10分ほど停車した。 この無駄に長い停車時間がもどかしくてたまらなかった。 刻一刻と残り時間はなくなっていく。 座して待つことしかできない自分の無力さを思い知り、情けない気持ちでいっぱいになった。 俺だけの想いで動いているのではない。 小町や由比ヶ浜の想いも背負っているのだ。 36 ID:9rH66bN8o バスが降車場に停車した。 時刻は15時40分。 予定より10分押していた。 雪ノ下が発つまであと1時間だ。 途中、強風のため高速道路で速度規制がかかっていたこととちょっとした交通渋滞に巻き込まれたことで 貴重な10分を失ってしまった。 検問所で費やした10分間もまた痛いところだ。 とにかくここからは全力疾走で出発カウンターを目指すことにした。 「頼むから不審者と間違えられて職務質問を受けませんように」 こう念じながら頭の中に叩き込んだ地図を頼りに目的の場所へと走っていた。 雪ノ下は俺のことをこう評する。 「目が腐っている」と。 また、由比ヶ浜はこう言う。 俺は「きょどっていてキモい」と。 そんな俺がターミナル内を全力で走っているのだ。 いつ警官に声をかけられても致し方のない状況だった。 俺は他人から怪しまれる素地を持っている自分を初めて恨めしく思った。 85 ID:9rH66bN8o 4階に到着した。 大きなスーツケースやらカーゴやらを引いたり押したりしている人たちでごった返していた。 少なくともバッグ一つで身軽に動いている人間は、子ども以外には俺しかいない。 よくぞここまで職務質問を受けなかったものだと我ながら感心した。 日々ぼっちスキルを鍛錬してきた賜物かもしれない。 大型スクリーンに映し出された運行状況をチェックした。 強風のおかげで軒並み遅延と表示されていた。 しかし、あまりにも多くの便数が表示されていて、一目で雪ノ下の搭乗便を見つけることができなかった。 61 ID:9rH66bN8o いちいち目で追っていてもキリがない。 こうしているうちにもタイムリミットに近づいていくばかりだ。 いや、ひょっとすると俺が立ち入ることのできないエリアへと既に移動してタイムオーバーになって いるのかもしれない……。 気が急いてそんな考えにとらわれてしまったからだろう。 航空会社のカウンターでフライト確認をしようだとか、放送で呼び出してもらおうなんて考えには 至らなかった。 「雪ノ下ぁーーー、雪ノ下ぁーーー」 人目を憚らず大声で探しまくった。 南ウイングの端から端まで隅々探したが、雪ノ下の姿は見つからなかった。 なら、もう一度反対側の端まで繰り返すまでだ。 「雪ノ下ぁーーー、雪ノ下ぁーーー」 冷たい視線が刺さってくる。 皆何事かとこちらを見てくる。 やっぱり応答はない。 まだまだだ。 「雪ノ下ぁーーー、雪ノ下ぁーーー」 フロアの半ばまで進んだところついに心が折れてしまった。 首のあたりから急に力が抜けてしまってガクッとうなだれてしまった。 やはり、間に合わなかったか……。 無力感にさいなまれ、その場に立ちすくんでしまった。 俺の周囲が次第に静かになっていった。 興味の先が別のものにそれたらしい。 もう潮時か。 そろそろ家に帰ろう……。 14 ID:9rH66bN8o 「全く騒々しいわね」 そんな時だった。 俺の真横から聞き覚えのある声がした。 その方向に顔を向けるとベンチに雪ノ下雪乃が一人で腰かけていた。 「ゆ、雪ノ下……」 「あんなに大きな声で呼ばれたら恥ずかしくて返事もできないじゃない……」 いつもの呆れ顔で雪ノ下は答えた。 って、いうか、もっと早く応答しろよ。 そして、いつもの憎まれ口をきいた。 「比企谷くん、あなたこんなところまで追いかけてきてストーカーなの。 85 ID:9rH66bN8o 「俺にそんな金はねーよ」 どこに私服警官がいるかわからない。 散々目立った動きをした俺だ。 おそらくどこかで目を光らせてマークしていることだろう。 さすがにパスポートすら持ってないことは口にはできなかった。 そのかわりに雪ノ下に俺のチケットを見せた。 「新……千歳って……。 国内線のターミナルは別でしょ。 よくもまあこんな姑息な手段を使ってここまで来ら れたわね。 さすがは小悪党ね」 初対面の時に平塚先生が俺のことを「小悪党」と紹介したことをしっかりと覚えていやがる。 まったく嫌な奴だ。 それに声に出すなよ。 せっかく逢えたのに両脇抱えられて連行されたらどうすんだよ。 「それは褒め言葉だと素直に喜んでいいのか?」 「はぁー……。 全くあなたって人は……」 額に手を押し当ててすっかり呆れかえっていた。 54 ID:9rH66bN8o 「さて、こんな漫談をしにここまで来たわけではないのだが……」 話を切り出すと雪ノ下の表情が急に真剣なものに変わった。 そして、雪ノ下が口を開こうとしたその時、拍子抜けするような能天気な声が聞こえてきた。 「ひっきがやくーん、やっはろー」 雪ノ下さんだ。 雪ノ下さんは手をブンブン振りながらやって来た。 「ほーら雪乃ちゃん、私が言ったとおりだったでしょ。 で、どうすんの?」 「はー。 何のことですか」 いきなりの急展開で何が何やら訳が分からない。 「雪乃ちゃんと賭けをしていたのよ。 比企谷くんが雪乃ちゃんを追いかけてくるか来ないかを。 ねっ、雪乃ちゃん」 雪ノ下はムスッと固く口を閉じ、斜め45度下を向いていた。 気のせいか顔を赤らめているように見えた。 05 ID:9rH66bN8o 「はー……」 思わず間抜けな声が漏れてしまったが、だいたいのことはわかった。 どうやら雪ノ下さんと一緒に留学をするようだ。 「ときに比企谷くん。 こんなところまで雪乃ちゃんを追いかけてきてどうするつもり」 ドス黒い意地悪な笑みを浮かべて俺の顔を覗き込んで来た。 近い、近い。 「いや……、別にどうこうしようと思ってきたわけではないです。 ただ……」 「ただぁ?」 雪ノ下さんはニヤニヤしながら続きを促す。 「……」 勝手に口が動いてしまい、無意識のうちに余計なことをしゃべってしまいそうになってしまった。 「やーっぱり、ただごとではなかったじゃない」 雪ノ下さんは俺の反応を見て喜んでいる。 俺、ほんとこの人苦手だわ。 31 ID:9rH66bN8o 「雪ノ下、俺は小町と由比ヶ浜の伝言を伝えに来た。 ちょっと待ってろ……」 俺は2人から離れると由比ヶ浜に電話をした。 そして、用件を伝えると雪ノ下に電話を代わった。 「雪ノ下、由比ヶ浜との通話が終わったら、今度は小町からもかかってくるから、電話を切ったら そのまま待ってくれ」 今度は雪ノ下が俺と雪ノ下さんから離れて何事か話していた。 雪ノ下が電話に出ている間、雪ノ下さんは俺に話しかけてくることはなかった。 2人で雪ノ下の様子を見守っていた。 「比企谷くん、話は終わったわ」 雪ノ下から携帯を受け取るとポケットにしまい込んだ。 「ところで、比企谷くん。 キミからは雪乃ちゃんに伝えることはないの?」 そう言って、この、このと肘でつついてきた。 だから当たってるって……、その……雪ノ下にはないものが……。 「比企谷くん、あなた今、一体何を考えていたのかしら。 それに、姉さんやめなさい」 えっ、何でそんなことがわかるんだよ。 お前、エスパーか何かなの? 「あら、雪乃ちゃん。 やっぱりわざとやっていたのわかったかぁ」 何この姉妹。 2人して俺の思考をトレースするのやめてくれない。 62 ID:9rH66bN8o 肝心なことを告げないまま徒に時が過ぎていた。 羽田とは違う音階のチャイムのあと、雪ノ下の搭乗便のアナウンスが流れた。 「雪乃ちゃん、時間切れよ。 どうする? 比企谷くんもこれでいいのかなぁ」 「……」 「……」 「2人ともせっかく搭乗便の遅れに救われたっていうのに残念だったわねぇ。 お互い最後に伝えておかないといけないことはないの?」 「わ、私はもう話したからいいわ……」 雪ノ下は俯いてそう答えた。 昨日のことを指しているのは明白だ。 確かに雪ノ下は俺に話しておきたいことがあると言って俺にちゃんと伝えてきた。 05 ID:9rH66bN8o 「じゃあ、今度は比企谷くんが伝える番じゃないの? まさか、妹ちゃんとガハマちゃんの伝言を わざわざ伝えに来たってだけって訳ではないんでしょ。 このまま雪乃ちゃんを行かせてしまうだ なんて、お姉ちゃん、比企谷くんのこと見損なってしまうなぁ」 雪ノ下さんの言葉グサッと刺さった。 その通りだ。 そうするために俺はここに来た。 小町に背中を押され、由比ヶ浜には駆けつけることのできない無念の想いを託されて。 そして、この2人に励まされてここまで来たのだ。 33 ID:9rH66bN8o それに雪ノ下さんも俺の心中をおもんばかって最後の一押しをしてくれている。 ただ黙っている俺を前に雪ノ下は俯いたままだ。 雪ノ下がどんな言葉を望んでいるのか俺にはわからなかったが、俺にもちゃんと伝えなければならないこと があった。 しかし、俺はこの期に及んでなおも自分の気持ちから逃げようしている。 そんな自分が情けない。 でも、自分可愛さにどうしても言えない。 もうこれ以上、自分は傷つきたくないと防御本能が邪魔をする。 再びチャイムとともに搭乗手続きを促すアナウンスが流れた。 もうこれ以上引き延ばすことはできない。 「雪ノ下、俺からも話しておきたいことがある……」 「そう……」 力なく顔をあげて俺の顔を見た。 しかし、その黒い瞳は力を失ってはいなかった。 「雪ノ下……、俺も今日の今日まで気付かなかったが、ここまで来るときにはっきりと分かったことがある。 俺は雪ノ下のことが好きだ。 過去形ではない、現在形だ……」 雪ノ下は何かを話そうとしたが、俺はそれを遮った。 俺自身が一番嫌いな卑怯な方法でだ。 「しかし、昨日俺はお前に『好きだった』と過去形でフラれた。 俺も自分の想いをこうして伝えることができた。 だから、これでキッパリと諦める。 さようなら、雪ノ下」 最後の最後まで自分の身可愛さに雪ノ下にこれ以上しゃべらせまいとした。 そして、話を打ち切った。 22 ID:9rH66bN8o バチンッ! 頬に強烈な痛みが走った。 脳震盪でも起こしてしまうのではないかと思ったくらい強い衝撃だった。 「比企谷くん、あなた最低ね。 雪乃ちゃんの気持ちを何も考えないでよくそんなことがいけしゃあしゃあと 言えるわね……」 陽乃さんは烈火のごとく怒っていた。 顔を紅潮させ、俺に痛罵を浴びせた。 「キミは人の心の痛みをよくわかって、寄り添ってあげられる人間だと思っていたけれど、とんだ見込み 違いだったわ! もう二度と雪乃ちゃんの前に現れないで欲しいわ。 行きましょう、雪乃ちゃん」 雪ノ下の手を取ると引きずるように保安検査所へと向かって行った。 雪ノ下は目を赤らませながら、チラチラとこちらを振り返っては引きずられるように遠ざかって行った。 28 ID:9rH66bN8o バッドエンド、ゲームオーバー、ジ・エンド……。 この場合は何て表現したらよいのだろうか? まさか、タイムオーバー以上の酷い結末があるとは思ってもいなかった。 取り返しのつかないことをしてしまったと後悔した。 心から悔やんだ。 俺は本当に最低な屑人間だ。 他人様を傷つけておきながら泣いてしまうなんて俺は何て身勝手な奴だろう。 目から零れ落ちる涙をコートの袖でひと拭いした。 コートの袖が目から離れた時、雪ノ下さんの制止を振り切って駆け寄ってくる雪ノ下の姿が見えた。 俺もその方向目がけて自然と走り出していた。 04 ID:9rH66bN8o 互いの距離があと1メートルというところで俺と雪ノ下は立ち止った。 息を切らしながら雪ノ下が口を開いた。 「わ、私はあなたに大事なことをい、言い残してしまうところだったわ……」 雪ノ下はまだ息を切らしているせいでいったん言葉を区切った。 そして、再び言葉を紡ぎ始めた。 「私もさっきあなたの姿を見て気が付いたのだけれど、私は比企谷八幡、あなたのことが好きよ。 過去形でも現在形でもなく現在進行形よ」 そう言い終えた雪ノ下雪乃は今まで俺に見せたことのないくらい最上級の笑みを見せた。 「雪乃ちゃん、まさかここまで来てやっぱり留学するのをやめるとか言い出さないでしょうね」 陽乃さんが2人分のキャリーバッグを重そうに押しながらやって来た。 「……」 雪ノ下は俺と陽乃さんを何度も交互に見て困惑の表情を浮かべていた。 ここに来て気持ちが揺らいでしまったのだろう。 なら、原因を作ってしまった俺が責任を負わなければならない。 08 ID:9rH66bN8o 「……行けよ、雪ノ下」 「えっ?!」 「えっ?!」 雪ノ下と陽乃さんが同時に驚きの声をあげた。 「お前の本心はわからないが、留学することは前々から決まっていたことなんだろ? 今更この期に 及んでやっぱり留学しませんってことにはならないはずだ。 あまりにも多くの人に迷惑をかけることに なってしまう。 お前の姉ちゃんだって1人でアメリカに行ったら、そりゃ立場ってもんがないだろ。 それにお前は小町はともかく由比ヶ浜と最後にちゃんと話をすることだってできた。 お前だってもう二度と日本に戻ってこないわけではないんだろうし、あいつらだってちゃんと心構えが できただろ。 違うか?」 雪ノ下はきょとんとした表情から凛とした表情に変わり黙ってうなずいた。 26 ID:9rH66bN8o 「それと俺からももう一言最後に伝えておきたいことがある。 これでお前もアメリカに行けるはずだ……」 雪ノ下の目に強い光が宿っていた。 視界には雪ノ下同様に真剣なまなざしを向けている雪ノ下さんもいた。 「俺は雪ノ下の帰りを待っている。 いつまでもお前の帰りを待っている。 だから、思い残すことなく留学し て来いよ」 「比企谷くん……」 雪ノ下は俺に飛びついてきた。 俺もそれに応えて雪ノ下を強く抱きしめた。 雪ノ下を抱きしめると胸に熱いものがこみ上げてきた。 俺はこんなにもこいつのことが好きだったんだなと初めて理解することができた。 だが、いつまでもこうしてはいられない。 抱き付いてく来た雪ノ下の両肩を掴むとパッと引きはがした。 「えっ?!」 「えっ?!」 再び、雪ノ下と雪ノ下さんが困惑の表情を浮かべながら絶句した。 45 ID:9rH66bN8o 「ほら、時間、時間!」 俺はオーバーアクションで腕時計を指さした。 「いけない。 雪乃ちゃん急ぐわよ!」 「ええ、姉さん!」 ガラガラガラガラ大きな音を立てながら保安検査場に走り込んでいった。 「高校を卒業したら戻ってくるから!」 「ああ、わかった。 待ってるぞ!」 雪ノ下と雪ノ下さんの背中を見送ると俺は帰路についた。 40 ID:9rH66bN8o ターミナルビルを出るとすっかりと朱に染めあげられた空が広がっていた。 雲一つない見当たらない、きれいな夕焼け空だ。 明日もいい天気だな。 柄にもなく思わず笑みがこぼれてしまった。 そこに爽やかな秋風が一筋。 俺の全身をスッと優しく包み込んでくれた。 明日は早起きして、着陸した頃に雪ノ下にメールでもしてやろうか……。 あっ……、あいつのメアド訊くの忘れてたわ……。 家に帰ったら小町から教えてもらうとするか。 また、ダメダメさんだねなんて言われるんだろうな。 「やはり俺の青春ラブコメは間違っているな……」 そう自嘲気味に呟くと千葉行のバスに乗り込んだ。 しかし、そんな暑さを我慢するのもあとちょっとだけだ。 部室が近づくにつれてだんだんと涼しくなってきた。 特別棟にある奉仕部の部室は教室とは違い、夏でもそれなりに涼しく感じることができる場所だ。 高3の夏、7月のある日の出来事だった。 期末試験が終わり、あと2週間で夏休みだ。 05 ID:9rH66bN8o いつものように小町が部室に一番乗りして、アホ面丸出しでうたた寝していることだろう。 奇跡的に総武高に受かった小町は迷うことなく奉仕部に入部した。 そして、俺と由比ヶ浜を出し抜いて平塚先生から部長代理に任ぜられた。 海の向こうにいる部長様といい、部長代理といい、俺には全く容赦がない。 奉仕部歴の長幼の序でいえば雪ノ下に次いで俺が番頭格だ。 その俺がなぜ部長代理にならないのか? 年功序列が日本の縦社会の基本ではなかったのだろうか? こんな現実を突きつけられるとますます勤労意欲など失せてしまう。 大学を出ても絶対に外に出て働いてはなるものかと決意を新たにしたところで部室の前に着いた。 81 ID:9rH66bN8o さぁ、今日も小町を叩き起こすところから部活動がスタートだな。 ガラガラ……。 「おい、小町。 起きろー」 鍵は開いているが、小町の間の抜けた返事もなければ、姿も見えない。 小町の席は俺の隣にある。 部長様の席は永久欠番のようにぽつんと取り残されている。 畏れ多くも触れてはならないと暗黙の了解のもと、昨年の秋からそのままの状態で残されている…… というか、放置されたままである。 しかし、夏が本格的に始まってくるや涼しい風の入ってくる窓際近くのその席に小町がちゃっかりと 座ることが多くなった。 45 ID:9rH66bN8o まーた、今日も座っていやがる。 ほんとに抜け目のない奴だな。 カーテンがバサバサと音を立てて揺れている。 その奥にいる小町の顔は見えない。 「おい、小町。 昼寝の時間じゃないぞ。 起きろ!」 またも返事は返って来ない。 全く困った奴だ。 こりゃ、揺すり起こさないとダメか。 自分の席に荷物を置くと、カーテンへと近づいた。 92 ID:9rH66bN8o 「こら、小町。 さっさと目を覚ませ!」 乱暴にカーテンをめくり開けた。 「!……」 「騒がしいわね。 読書の邪魔をしないでもらえるかしら」 不機嫌そうな目を向ける雪ノ下雪乃がそこに座っていた 「なっ……。 ゆ、雪ノ下……お、お前なんでこんなところにいるんだ」 「あなた馬鹿なの。 アメリカの学校は9月に始まって6月に終わるのよ。 そんなことも知らないのかしら」 久しぶりの再会だっていうのにいきなり罵倒かよ。 少しは丸くなって帰ってくるのかと期待したけど、そうそう簡単に人間変わるもんではないな。 それはお互い様か。 スッと立ち上がった雪ノ下は、髪をかき上げるお得意の仕草をした。 「それくらい知ってるわ。 ……ってか、違う、そんなことじゃない。 お前卒業するまで帰ってこないって 言ってなかったか?」 予想だにしなかった部長様のお出ましに思わず面喰ってしまった。 だって、私、飛び級で卒業してきたもの……」 急に声のトーンが落ちたかと思うと雪ノ下はもじもじし始めた。 「だ、だって……」 雪ノ下は顔を真っ赤に紅潮させている。 それを見て俺の顔も瞬く間に朱一色に染まりあがってしまった。 「比企谷くん、あなたに一刻も早く逢いたかったもの……」 最後は蚊の鳴くような声になっていた。 なんかめちゃくちゃ可愛いぞ。 雪ノ下は「ヒャッ……」と声をあげたが、抵抗しない。 これって、いいんだよね。 いいんだよね? このままずっと抱きしめていたい……。 ……比企谷ぁ! 君たちはいったい何をしているのかね!」 開け放たれたドアの前に平塚先生が仁王立ちしていた。 「ひ、平塚先生ノックを……」 や、やめろ、雪ノ下。 これじゃあ火に油を注ぐようなもんだろ。 「ああぁぁぁ、ノックかぁ?」 ガゴンッ! 平塚先生は裏拳で思いっきりドアを叩いた。 ドアに穴開いたりしてないよね。 「ひっ!」 雪ノ下は急にギュッと抱きついてきて俺の胸の中で小刻みに震えていた。 こら、今は離れるのが先でしょ。 「部室に2人きりでいると思えば何をやっている? 今から生活指導室に来たまえ!」 リンゴを握り潰しそうな勢いで固く拳を握りしめていた平塚先生の目からはメラメラと燃える炎が 見えてきそうだった。 雪ノ下はというと、俺の袖口を掴んで俺に引きずられるように歩いている。 何なのこの間抜けな画は? 廊下をすれ違う生徒は皆振り返ってこっちを見ている。 遠くにいる生徒には指で指されている。 平塚先生に引きずられる男子生徒。 そして、なぜかその男子生徒の袖を掴んで歩く校内一の美少女かつ校内一の優等生。 この衝撃的な光景は明日にでも校内くまなく知れわっていることだろう。 えっ……ゆきのんまで」 由比ヶ浜結衣が驚きの表情で声をかけてきた。 頼む、これ以上何も聞かないでくれ。 「お、お兄ちゃん、せっかく結衣さんと部活休んで2人きりにしてあげたのに何やってんの……」 何って? 言えるかよ。 次々と由比ヶ浜と小町から繰り出される質問に俺と雪ノ下はひたすら黙秘を貫いて生徒指導室に連行された。 この後、平塚先生からこっぴどく説教されたのは言うまでもない。

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#1 八幡「なんで死んだことになってんの」

俺 ガイル ss 八幡 死亡

IN 商店街 八幡「あ~疲れた~。 カラオケなんかやっぱするもんじゃねえなあ」 雪乃「あなた大して歌ってないじゃない。 まああなたの腐ったのどから出る怪音波に脳が汚染される機会が減ったのは歓迎すべきことだけどね」 八幡「俺の声はSF化学兵器か」 結衣「ゆきのんもあんま歌ってなかったじゃん。 結局わたしがずっと歌ってた気がするんだけど。 ぶ~」 雪乃「ごめんなさい。 人前で歌うって正直罰ゲームかなんかとしか思えないの」 八幡「あ~それはわかる。 ジャングルのどっかの部族とかの掟で人前で歌うって罰がありそう。 あんなもんを趣味にしてるリア充どもはその部族を見習え」 結衣「ちょっとヒッキー!私カラオケ大好きなんですけど!」 八幡「ジャングルの奥地に行って暮らせ」 結衣「む~!いいもん!これから何度も行ってちゃんと二人にもちゃんとカラオケの良さをわかってもらうもん!」 キュルルルル 雪乃「あれの良さをわかるときがくるのかしら」 キュルルルルルル 八幡「いらん。 あんなもん一生わからんでも…」ドガッ 八幡「あ、すいません」 キュルルルルルルルル ??「いえいえ」 雪乃「ほらちゃんと前向いて歩きなさい」 八幡「ああ…んん?」 ギュルルルルルルルル 結衣「どったのヒッキー」 八幡「いやポケットの感触が…」 ギュルルルルルルルルルルル!! ??「う、うわーーーー!!」 八幡「へ?」 ギュルルルルルルルルルルルルルル!!!!! 気づいた時にはもう遅かった。 目の前には巨大なトラックがあった 逃げなきゃいけないって本能が告げてるが足がどうしようもなく動かない どうにもならないと思った。 ここで終わると思ったけど… 八幡「ああああああああ!」 俺は最後に思いっきり雪ノ下と由比ヶ浜を押し出した 正直自分でも驚いた。 こういうときは真っ先に他人を犠牲にしてでも自分が助かるように動くもんだと自分でも思ってた 最後にこんな物語のイケメン主人公みたいな真似するなんて… ガン! 肉と鉄がぶつかる音がして、ああこれは終わった、サブレを助けたときみたいには助からないだろうなあなんて他人事のように思った [newpage] そんなことはなかった 八幡「…どこだここ」 気づいたらベッドの上だった 八幡「病院か…」 服は患者服、体の数か所に湿布やら包帯やらの感触 軽く体の感触を確かめると多少痛むものの動きに特別不自由に感じることはなかった 八幡(前のときの方がよっぽどひどかったな。 なんならすぐ歩くこともできそうだ) 八幡(完全に死んだと思ったの思い過ごしかよ。 また黒歴史が増えていく…) 八幡(とりあえず…) 八幡「すいませ~ん。 だれかいませんか~」 看護婦「はいは~い!ああ、お目覚めになりましたか!特にお体に異常になんかは感じませんでしょうか?」 八幡「いえ、とくには」 看護婦「ではドクターをお連れしますのでしばらく安静にお願いします」 ……… 医者「お目覚めになられましたか。 ご気分はいかがですか」 八幡「多少体は痛みますけど特に問題はありません」 医者「わかりました。 一応こちらでもすでに検査をしていて大きい脳震盪を起こしてしばらく昏睡状態ではありましたが、ほかには幸い軽い打撲数か所程度だと確認は取れてます」 八幡「脳震盪……どれくらい俺は眠ってたんですか」 医者「4日ほどになりますね」 八幡「4日ですか…」 ぼんやりと4日寝てたんだなあっと考えてたら重要なことを思い出した 八幡「そうだ!事故はどうなったんですか由比ヶ浜は!?雪ノ下は!?」 医者「落ち着いてください。 ………あの事故ではあなた含めて女性2人男性2人の計4人の方が巻き込まれました」 医者「女性2人に関してはあなたより軽傷で半日ほど気を失ってましたがすでに回復し退院済みです」 医者「ただあなたではない男性は……もろにぶつかってしまい即死でした。 遺体が原型をとどめないほど強く衝突していました」 八幡「そうですか…」 それを聞いたとき正直ホッとした 死んでしまった男には申し訳ないけど2人が大した怪我がなかったのが俺の中では大きかった 医者「さて……あなたの体に関してですが、さきほど言った通り軽い打撲程度なのでしばらく点滴しながら休めば退院できると思います」 八幡「そうですね。 できるだけ早く退院したいと思います」 医者「では何かあったら言って下さ………ああ、大事なことを一つ忘れてました」 八幡「大事なこと?」 医者「ええ、あなたのお名前です。 あなたの所持品にあなたの情報が記されてたものがなかったのでうちの病院でもまだあなたが誰なのかわかってないんですよ」 あれ?財布とかのなかに身分証明に使えるものがあったはずだけどと思いながら答える 八幡「名前は比企谷八幡、総武高校の2年生です」 医者「………いまなんと?」 八幡(え、なんだこの反応) 急に険しい態度になった医者にとまどいながらももう一度自己紹介をする 八幡「比企谷八幡、総武高校の2年です」 医者「…………少々お待ちください。 大至急確認しないといけないことができました」 八幡(なんだなんだ、なにがおこってるんだ) 急にあわただしく出て行った医者に不安になりながらしばらく待つしかなかった ……… 医者「大変申し訳ありません!当病院のミスで単刀直入に言わせてもらえばあなたは死んだことになっております!」 八幡「えええ…」 [newpage] 事情を説明してもらうと以下の通りだ あの事故で亡くなったもう一人の男の方が病院側が比企谷八幡だと断定したみたいだ 断定の根拠は男の所持品の俺の財布と俺のスマホだ なぜか死んだ男は俺の財布とスマホをもっていて体が原型を留めていなかったので所持品から遺体の身元を俺の家族を聞いて決めたらしい ちなみにスマホは事故の衝撃ですでに使い物にならなくなっていた 八幡(でもなんで俺の財布とスマホがその男が持ってたんだ) ここで当然疑問になるのがなんでその男が俺のものを持ってたかということになるが考えていくうちに一つの結論にたどりついた ------------------------------------- 八幡『いらん。 あんなもん一生わからんでも…』ドガッ 八幡『あ、すいません』 キュルルルルルルルル ??『いえいえ』 ------------------------------------- 結衣『どったのヒッキー』 八幡『いやポケットの感触が…』 ギュルルルルルルルルルルル!! ??『う、うわーーーー!!』 八幡『へ?』 ------------------------------------- 俺はあの事故の直前知らない男とぶつかって悲鳴を聞く限りその男と一緒に事故に巻き込まれてる つまり… 八幡(死んだ名前もしらない男ってのはおそらく直前にぶつかったあの男だ) しかも事故の直前に気づいたがあのときポケットの感触がおかしかった ポケットに入れておいた財布とスマホの感触と重さがなかった気がしたのだ まとめたうえで俺なりの結論をだすと 八幡(おそらく死んだあの男はスリだったんだ。 あの男は俺から財布とスマホをスッた後事故に巻き込まれて死んだ。 そして遺体の損傷のせいで俺と間違われた) 物的な証拠はないけど核心に近いものを感じた とはいえ起こったことは引き戻せない 八幡(これからどうしたもんかなあ~。 小町たちと連絡とろうにもスマホもないし、電話番号覚えてるわけでもないからな~) 医者「とりあえずいったん怪我が治り次第帰宅することをおすすめします」 医者「治療費及び交通費はすべて当病院が負担いたします」 八幡「え、そこまでしてくれるんですか」 医者「今回の不手際は当病院の確認不足に起因します。 このくらいは当然させていただき後日追加で慰謝料を払いたいと思います」 八幡「まあこちらとしてはそれでいいですけど」 まあ小町や家族への説明も帰ってから俺からすればいいだろっとこのときはそう気楽に考えていた 死んだって聞いてた俺が実は生きてたら驚くだろうなあくらいに考えていた 事態は割と俺の想像の斜め上にいってることを知らずに….

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