福崎智司 三重大学。 次亜塩素酸の科学 -基礎と応用-

ifia JAPAN 2019食の安全・科学フォーラム 第18回セミナー&国際シンポジウム のお知らせ

福崎智司 三重大学

経済産業省及び製品評価技術基盤機構(NITE からの発表、各報道について星光技研の見解• 2020. 経済産業省、製品評価技術基盤機構(NITE)、各報道機関より発表及び報道がありました。 それらにつきまして、弊社の見解をお知らせいたします。 経済産業省、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 NITE 発表について (2020年5月29日発表) 本発表では「新型コロナウィルスに対して界面活性剤は有効」「次亜塩素酸については現在も評価中」「次亜塩素酸水の販売実態や空間噴霧の事実関係のまとめ」が公表されました。 また、NITEのまとめにもありますが、市中には目を疑いたくなるような次亜塩素酸の製品が流通してしまっていることは事実です。 ・薬機法(旧薬事法)に抵触する表現 ・成分表示・液性表示がない ・消費者が誤解するような表現 ・使用や保存方法の記載がない ・次亜塩素酸の特性を把握せずに販売(遮光性がない容器で外箱がないなど) 上記に対しては是正すべき問題であり、正しい知識のもと次亜塩素酸を活用していかなくてはなりません。 噴霧器をご使用いただいておりますお客様におかれましては、 いま一度ご使用されている次亜塩素酸水の内容をご確認いただき、信頼できる販売店から液剤をお買い求めください。 先に挙げたような販売方法に問題があるもの、粗悪なものはご購入なさらないよう十分にご注意ください。 報道について NHK並びにネットニュースなどではNITEの発表をもとに、以下のような報道がありました。 NITEの報告ではまだ噴霧実験は行われておらず、「次亜塩素酸水の噴霧は有効ではない」とも一切報告されておりません。 記事のような結論に達するには些か疑問が残ります。 次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムを混同させて記事が書かれているものもあります。 記事では噴霧が否定されるような印象を受けますが、しかしながら日本国内の大学などの研究機関において次亜塩素酸の研究が行われており、効果や安全性が認められております。 (以下の資料は二液混合方式と電解方式がありますが、両者は生成方法の違いがありますが、除菌消臭成分である次亜塩素酸は共通のものとなりますため、参考までに資料へのリンクを提示いたします) ・弱酸性次亜塩素酸水溶液の殺菌効果の基礎的検討および食品・畜産分野への適用に関する研究 ・微酸性次亜塩素酸水の衛生工学分野における応用展開 (フルテキストと書かれた項目欄に文献PDFがございますのでそちらをご参照ください。 なお、弊社では次亜塩素酸の権威とされる三重大学 大学院生物資源学研究科 福﨑智司教授より、 次亜塩素酸が菌やウィルスに対して有効であることに加え、 空間噴霧の安全性についてもアカデミックな視点で公平性があるご意見及び研究成果をいただいております。 【公開参考資料】(一般財団法人 食品分析センター 著:三重大学 教授 福崎智司氏) また、何より弊社はこれまで次亜塩素酸専用 超音波噴霧器を15年間、累計20万台超を生産・販売した実績があります。 そして、現在まで健康被害の報告はありませんでした。 最後に、本件は一見逆風にさらされるような事案ではありますが、 それは品質が悪いもの、正しく販売されていないものが市場から退場する良いきっかけであると考えております。 これからも国内各研究機関と連携を取りながら、「安全かつ効果的」な次亜塩素酸の活用を行なっていくと共に、次亜塩素酸の健全なる普及に邁進してまいります。 そして、ユーザーの皆様には安心してお使いいただけるよう、これからもこだわりの製品を提供できるよう全力で努めて参ります。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 今後も新たな情報が入り次第、皆様にご報告をいたします。

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次亜塩素酸の安全性について

福崎智司 三重大学

近年、空中浮遊菌や表面付着菌による食品の二次汚染防止や感染症対策として、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液や電解水を用いた空間除菌装置が普及し始めている。 NaOCl水溶液を用いた空間除菌装置は、基本的には加湿装置の原理を利用しており、超音波霧化方式と通風気化方式に大別される。 超音波霧化方式は、NaOCl水溶液を超音波振動子により微細粒子状に霧化して空間に噴霧することにより、室内空間や固体表面に存在する微生物を不活化する方法である。 この方式はアクティブ式と呼ばれている。 その結果、長時間の稼働により、固体表面では白色塩類が析出する現象が起こるため、定期的な清拭洗浄を行うことが望ましい。 一方、通風気化方式は、室内空気を装置内に吸引し、水を含浸させた繊維フィルタ内を強制通風させることにより、フィルタ表面での水の気化によって水分子を放出する現象を利用している。 この通風気化装置にNaOCl水溶液を供給すると、空気中に含まれる物質を気液接触により酸化処理した後、処理空気を再び室内に吹き出す方式で処理が行われる。 この方式はパッシブ式と呼ばれており、装置内部での酸化処理が浄化機構と考えられている。 一方、吹き出し空気にはかすかな塩素臭が官能的に検知でき、風流により有効塩素成分が揮発していることがわかる。 一般に、水が多量に気化する条件下において、有効塩素成分の揮発挙動や微細粒子(ミスト)の飛散現象については十分に理解されていない。 筆者らのグループは、通風気化システムを用いて、有効塩素成分や塩類の揮発挙動ならびに空中浮遊菌・付着菌に対する殺菌効果に関する研究を進めている。 ここでは、揮発する有効塩素成分は非解離型次亜塩素酸(HOCl)であること、塩類の系外への放出は起こらないこと、そして揮発したHOClは酸化力を保持したまま表面付着菌の殺菌に寄与することを紹介する 1。 1.通風気化システムの構成 に、実験に使用した通風気化システムの模式図を示す。 通風気化装置の内部は、中空円筒状の多孔性繊維フィルタ(ポリエステル)と含浸用水溶液を入れる平型タンク(1. 繊維フィルタは、NaOCl水溶液の水面から10 mmまで浸り、通気の流れと対向する方向に回転(1 rpm)させた()。 2.空中浮遊菌に対する効果 に、三重大学水産製造実験工場内(室内空間:480 m 3;無人下)の任意の10箇所に寒天栄養培地入りシャーレを設置し、通風気化装置2台を8時間稼働(有効塩素濃度:15 ppm)したときの落下菌数を示す。 この時、室内には吹き出し空気に由来する塩素臭が明らかに感じられた。 この実験と並行して、腸炎ビブリオを塗布した寒天栄養培地入りシャーレを設置して殺菌効果を検討しているが、コロニー数には有意な減少は見られなかった。 このことから、浮遊落下菌の減少は通風気化装置の内部における殺菌処理および揮発有効塩素成分による空間中での殺菌作用によってもたらされたと推測できる。 3.有効塩素成分の揮発 に、pH 5、8、10に調整したNaOCl水溶液(10 ppm)を通風気化装置に供給したときのC Cl-の経時変化を示す。 いずれのpHにおいても、シャーレ内の水に捕集されたC Cl-は稼働時間に比例して増加し、一定の速度で有効塩素成分が揮発していることがわかった。 また、pHが低いNaOCl水溶液ほどC Cl-が高くなる傾向を示した。 このように、有効塩素濃度は同一でもpHに依存して有効塩素成分の揮発量に顕著な差が出ることがわかった。 ここで、各pHのNaOCl水溶液に含まれるHOClの存在割合は、pH 5で99. すなわち、揮発量はHOCl濃度に依存していると考えられる。 に、NaCl水溶液およびpH 5および10に調整した10 ppmのNaOCl水溶液を通風気化装置に供給して稼働したときの、湿潤ガーゼに付着した黄色ブドウ球菌の生残率の変化を示す。 NaCl水溶液の場合、5時間の試験において黄色ブドウ球菌の死滅は見られなかった。 pH 5のNaOCl水溶液を供給した場合、生残率が減少し始めるまでに約2時間の遅延は見られたが、その後の生残率は時間とともに減少し、5時間の暴露で3 log(99. 一方、pH 10のNaOCl水溶液を供給した場合、5時間の稼働では黄色ブドウ球菌の生残率は0. 3 logの減少にとどまった。 黄色ブドウ球菌の死滅挙動は、に示したC Cl-値(揮発量)の結果と相関していた。 これは、揮発したHOClが黄色ブドウ球菌に対して殺菌作用を及ぼしたことに他ならない。 2 乾燥シャーレ ネコカリシウイルス( Feline calicivirus)は、ノロウイルス(人工培養不能)と同じカリシウイルス科に属することから、米国環境保護局(EPA)にてヒトノロウイルスの代替ウイルスとして指定されている。 ネコカリシウイルスは、エンベロープを持たないウイルスであり、環境の変化に強く、薬剤耐性も高いことで知られている。 に、ノロウイルス代替のネコカリシウイルスの感染価の減少曲線を示す。 通風気化装置を稼働させた結果、感染価は時間とともに徐々に減少したが、その速度は遅く、コントロールと比較すると240分後にようやく2 log以上の減少に達した。 今回の実験では、低濃度の電解次亜水(10 ppm)を用いたため速効的な効果はないものの、揮発HOClとの接触時間を延長すれば、ネコカリシウイルスを不活化できることが実証された。 引用文献.

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次亜塩素酸の安全性について

福崎智司 三重大学

新型コロナウイルスの消毒方法の有効性評価で、販売実態や空間噴霧の是非で注目を集める「次亜塩素酸水」。 先日、経産省およびNITEが発表した「『次亜塩素酸水』等の販売実態について(ファクトシート)」が話題です。 何が問題なのでしょうか。 また「次亜塩素酸水」の有効性を維持するための注意点を教えてください。 福崎智司(以下、福崎)「製品安全データシートが添付されないまま配布されている、または液性に関する表示が不十分あるいは貼付されないまま出回ると、同じ次亜塩素酸水という名称だけでは市民が成分も分からず自己判断で使ってしまいます。 消費者が自律した判断で使えるようなデータシートや液性の表示が必要だということを指摘したかったのだと思います。 次亜塩素酸水というのは食品添加物の殺菌料、いわゆる食品衛生法上の名称ですが、水溶液そのものが流通することを前提に置いていません。 容器に充填して配布あるいは販売した時点で食品添加物からは外れていますので、配布や販売を行う際には『食品に適用するものではない』ということを注意喚起しなければいけません。 また、電気分解で生成した次亜塩素酸水にはpHと濃度に規定がありますので、その規定から外れるとこの名称も適切とは言えません。 一方、二液混合で生成した次亜塩素酸水溶液は分類としては雑貨ですので、pHや濃度に規定はなく、食品以外は何に使っても構わないということになります。 次亜塩素酸は酸化作用が強くて反応性が高い反面、濃度の減少が相対的に早く、特に紫外線によって分解が促進される特性があります。 日光が当たらない暗所で低温であれば、次亜塩素酸の効果は長持ちします。 これはエタノールでも同じことで、高温の場所で保管すると、濃度の減少が早まります」 「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」を混同している消費者も多いです。 福崎「次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは酸性とアルカリ性の違い、そして濃度が大きく違います。 その理由は、製造方法の違いにあります。 次亜塩素酸ナトリウムは、水酸化ナトリウムという強アルカリ性の溶液の中に塩素ガスを吸収させて生成します。 もともとの母液の水酸化ナトリウムがアルカリ性で、できた溶液は水酸化ナトリウムの中に次亜塩素酸が含まれたものです。 一方で次亜塩素酸水は、電気分解で製造します。 薄い食塩水を隔膜がある電解槽で電気分解すると、陽極側には次亜塩素酸と塩酸が、陰極側には水酸化ナトリウムが生成されます。 陽極側の酸性電解水と陰極側のアルカリ性電解水を混合して、弱酸性電解水を生成します。 さらに隔膜を入れず、塩酸を出発物質にして、電気分解した生成物を微酸性電解水と言います。 各電解水において、一定のpHと濃度の規定範囲にあるものを次亜塩素酸水と呼びます」 同様に「『次亜塩素酸水』の空間噴霧について(ファクトシート)」も話題ですが、「次亜塩素酸水」を噴霧して消毒効果はあるのでしょうか? 福崎「私も研究していますし、欧米の学術論文にも出ていますが、次亜塩素酸水を超音波式で噴霧した微細粒子が微生物やウイルスに接触すれば、必ず除菌効果が出ています。 ただし、水溶液そのものではなく霧状にすることで、対象物に届くまでに濃度が減少します。 私たちはもとの水溶液が、ある一定の距離に到達した時点での濃度を測定しています。 空間噴霧といえば空間全体を消毒するかのようなイメージを持って話をする専門家も多いですが、決してそうではないのです。 実際に空間噴霧を見たことがあると思いますが、上に吹き上げられた微細粒子は次第に落下を始め、やがて目に見えなくなります。 目に見えなくなった微細粒子からは気体状の次亜塩素酸が揮発しています。 気体というと通常は部屋全体に拡散するのですが、実際は次々に上から落下してくる微細粒子に吸着して吸収され、それを繰り返しているうちに濃度勾配ができます。 つまり床に近いほど次亜塩素酸の濃度が高く、私たちの顔の位置、そして天井に近くなるにしたがって低くなります。 空間の微生物を制御する際に、微生物がどこにいるかということを考えてみてください。 微生物は浮遊するよりは何かに吸着したほうが安定するので、浮遊菌より付着菌のほうがはるかに多く、さらに床に近づくにつれ数が多くなるのです。 浮遊している菌は換気をすれば、ある程度希釈されて薄まりますが、換気だけで室外に出ない付着菌や床の菌をどうするか、というのが問題なのです。 空間噴霧の微細粒子は落下して、膝から下に溜まっている菌に作用します。 たとえば汚れた空間で噴霧を行うと、私たちが着座した状態や起立した状態で顔の位置にくる次亜塩素酸はほぼゼロです。 これを長時間続けていて、初めて2~5ppbという薄い濃度になります。 ちなみに作業環境許容濃度というのがあって、1日8時間、週40時間暴露しても人体に影響のない濃度が定められていて、塩素ガス(次亜塩素酸の代替指標)に対しては0. 5ppm(=500ppb)で、このわずか1/100から1/250程度の濃度が顔の付近に漂うので、決して空間全体を消毒するという概念ではありません。 私たちは企業から依頼があれば濃度測定を行い、測定データに基づいた技術指導を行なっています。

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