アボカド 両手 に ステップ 踏ん だら。 ‎「白いとこ歩いたら死亡」をApp Storeで

推しを語り祭り

アボカド 両手 に ステップ 踏ん だら

+シュワロでメシ食うアレクとカケル 周囲の視線を浴びながら、二人は学食テラスの真ん中で昼食を広げている。 アレクサンダーはタッパーを一つ、カケルは防水加工された紙袋を一つ、それぞれ真っ白いテーブルに置いた。 本日の昼食をお互いに「なんだそれ」という顔で見ながら、ガタガタと椅子を引く。 タッパーの中身は、ほぐされもしていない茹でささみが四本入っていた。 申し訳程度にゴマドレッシングがかかっている。 「マジで? それお昼ごはん?」 対するカケルは紙袋からバゲットのサンドイッチを取り出した。 サーモンとアボカドと、オニオンスライス。 それが二つだ。 「なんだそりゃ。 女か?」 「それは君でしょ。 ダイエット中?」 筋肉づくりのためだと知ってのからかいに、アレクサンダーは鼻で笑うことしかしない。 カケルが固いバゲットを一口噛んで、引きずり出てきたサーモンを咥え、器用に舌を出してくるりと上手く口の中に納めている間に、アレクサンダーは二本のささみを食べてしまった。 口元に寄せた手で軟骨だけをタッパーに戻すアレクサンダーの所作は意外にも滑らかで粗暴さは無い。 ペースト状になってしまったアボカドをめがけて二口目に取り掛かる頃には、アレクサンダーの昼食は終わってしまっていた。 カケルは、わさび醤油にオリーブオイルと少々の酸味を効かせたサンドイッチをもっと味わって食べたかったので、立ち上がるアレクサンダーの事を止めはしなかった。 席を離れていったアレクサンダーは、しかし、のそのそと再びテーブルまで戻ってくると、プロテインシェイカーに粉末と、買ってきたらしい瓶詰の牛乳を注ぎ入れた。 目の前で力強く上下するプロテインシェイカーを、カケルはショーか何かを見るような心地で眺めた。 それはもう、あまりに見事な振りっぷりであった。 ものの数秒で混ざり切ったらしい。 紫色の蓋を開けると途端に甘い香りが辺りに広がった。 プツプツと弾けるカスタード色の泡の向こうで、バゲットを口に含んだままのカケルが少し頭を後ろへ下げる。 まだささみの味が残る口内に、アレクサンダーは躊躇なくプロテインを流し込んだ。 「ねえ、何味?」 「バニラだ」 「へえ、美味しい?」 「不味い」 流れるような真顔の否定に、カケルは拳を口元に当てて天を仰いだ。 「ンッ」喉仏が上下して、飲み込むにはまだ少し早かった玉葱たちが喉を滑り落ちていく。 「ふふ、他にもあるでしょ、ココア、ストロベリー、バナナ。 ま、そのメーカーさんのって、それしか無いけど。 何でそれなの?」 シェイカーを水平にして、周りについたプロテインが落ちてくるのをアレクサンダーはゆっくりと待っている。 「バランスがまともだ。 あとコスパ。 バナナは不味かった。 バニラが一番マシだな」 カスタード色がゆっくりと溜まっていく。 カケルは残りの一つのバゲットを、紙袋にしまった。 「ねぇん、うちのにしない? 味には自信あるよ? バリエも豊富だし、これからもっと改良してく」 「高ぇ」 「それ言われちゃうとなあ、うーん、ユーザーの事考えると、勿論そこは要検討だよねん」 シェイカーを傾ける。 残り僅かがアレクサンダーの唇の中へ消えていく。 カケルはその様子を眺めながら、片肘をついてアイスコーヒーのストローを口に含む。 「……キロ四千円」 「三千円にしろ」 「無茶~!」 おそろしい! と身を捩り笑うカケルに、アレクサンダーも「それは企業努力だろうが」と口の端を上げて応える。 椅子を引いて、二人はゆっくりと立ち上がる。 「今度サンプルあげるからさ、検討してみてよ」 「期待せず待ってやる」 「オッケー、おっつ~」 たった十分の出来事だった。 衆人の視線の中で二人は食事と雑談を終え、アレクサンダーはトレーニングへ、カケルはエーデルローズへ向かう。 白いテーブルだけがぽつんと取り残されて、食堂は普段の喧噪を取り戻していく。 [newpage] +息をするように騙す自分に辟易しているリュウガと全部知っていて黙っているイケルのリュウイケ リュウガが死んだ。 イケルさんがそう言った。 本当のことだろう。 嘘を吐く必要はないし、例え吐いたところで彼にメリットは無い。 リュウガが死んだ。 イケルさんは何の感慨もなく、ただ事実を事実としてぽつりと呟いた。 その程度の事なのだ。 『リュウガ』が死ぬことに、興味さえも殆どない様子だった。 だから俺はイケルさんの元へ向かいながら大声を出す。 「ええ~! まぁたリュウガっち殺しちゃったんですかぁ!?」 日比谷線沿いにある、コンクリ打ちっぱなし1DKのマンションがイケルさんの家だ。 こっちに背中を向けて一人掛けのソファに座っているイケルさんは、薄型テレビの中で『リュウガ』の入った棺桶を引きずっている。 俺はイケルさんの足元に胡座をかいて座り、取ってきたばかりのプリンにスプーンを突き立てた。 「負けたんすか」 「勝ったよ」 「え! リュウガっち経験値入らなくない!?」 イケルさんは麒麟のグリーンラベルロング缶に口をつけ、「そうだね」と諦めの様子でコントローラーを丸テーブルへ置いた。 このニンテンドースイッチは、会社の忘年会で去年イケルさんが当てたものらしい。 それを聞き付けた俺はやりたいと駄々を捏ね、そこから何度も週末に上がり込んでいる。 今日なんて鍵を借りて俺の方が先に帰ってきた。 「豚キムチ焼きうどん作っときますよ」つって。 「やっぱり遊び人は弱いな……遊び人の装備ってどうすればいいの?」 俺の隣で紺のパジャマを着た足が組み替えられる。 上は襟シャツのままで、スーツのジャケットとネクタイはとっくに仕舞われていた。 そっちの装備の方がどうなの? と思わなくもないけど、風呂前だし気持ちも分かるので「今のが買える範囲だと最強なんじゃなかったすか? なんかドロップしました?」と頭上に手を掲げた。 リモコンが掌に降りてくる。 「あっでもさっきのボス戦勝ったんですよね? 次の町行けんじゃないの?」 それ即ち強い装備が店で手に入るってことだ。 イケルさんは置いたばかりの俺のプリンを取り上げて、仕事でだって滅多に出さないようなデカい溜息を吐いた。 「それが分からないんだよ……昔はもっと分かり易くなかった? 最近のは自由度が高すぎて分からない」 「えー! 懐古厨! 着いて来てくださいよォこの若者に! てかリュウガっちのプリン食べてません?」 画面を睨む眉間の皺はそのままに、イケルさんは片眉と口角を一緒にちょいと上げて笑った。 「このスプーンは僕の家のものだから、そりゃあ一割は貰うよ」 いやちょっと待ってくれよ。 その顔初めて見たっつーの。 やめてよ頼むよマジになっちゃうじゃん。 最初にこの家へ来たのは先々月の金曜日、酔ったついでに駄々捏ねて、マリカーでリュウガっちに勝ったら何でも言うこと聞いてあげましょうって上がり込んだ。 そのまま寝たふり決め込んで、勝負できなかったんでって翌週には約束取り付けた。 そこから毎週とまではいかずとも、片手指を越えるくらいの回数は来ている。 あんた男心って知ってる? 段階踏んだら絆されてくれんの? いくら駄々捏ねられたからって、後輩を何度も家に上げる? ねえあんた分かってんの? この家の鍵を俺はまだ返してないし、もうスプーンがどこに仕舞われているかも知ってんだよ。 ドンキでスウェット買ってきてるし、そのスウェットは明日ここに忘れていく予定なんだよ。 画面の中の教会で、牧師が祈っている。 『リュウガ』が生き返る。 知らんぷりなんて無限にできる。 主人公の後ろで『リュウガ』は舌を出しているに違いないし、きっと牧師はそれを見ているだろう。 悪行はきっと神様が見ていて、いずれ俺は酷い目に遭うだろう。 でもいいんだよそれで。 そっちの方が安心する。 トントン拍子だといつか本当にこの人に取返しの付かない事をしそうで、それが怖い。 実際のところ、早いところ牽制でもなんでもしてほしかった。 「攻略サイト見ようかな……」 いつの間にかプリンを手放していたイケルさんはスマホを片手にとんでもない事を言い始めた。 俺は思わず肩越しに振り返って、「ばっかで!」と口走り舌を噛んだ。 勢いで飛び出た言葉を噛み殺してももう遅く、イケルさんは判決を言い渡す地獄の閻魔よろしく、スマホから俺へぎょろりと目玉を向けた。 「聞こえたぞ遠上」 「あ、いえ、ちがくて、ソノ、攻略見ちゃうのはぁ~、勿体なくないですか?」 閻魔から上司に戻ったイケルさんから特にお咎めも無く、「行き場所くらい良いんじゃない? あてもなく動くのも時間の無駄のように思うけど」と再びスマホへ目を向けた。 「え~? それも醍醐味じゃないすかね。 その時間もこのソフトの金額に含まれてると思いますけどリュウガっちは」 スマホを弄っていた親指が止まった。 俺を見下げる目がぱちと音がしそうなほど大きな瞬きをした後、イケルさんは芝居がかった口振りで、「君、良い事言うなあ」と感嘆した。 「僕は全部把握して動くのが好きだから、そうか、性格が出るね」 白い指が顎をひとなでしながらふうんと頷くので、動きの優美さやイケルさんが俺との差異を分析してくれる事に意識を取られ、俺は何も考えずにへらへら笑った。 「イケルさん、人を掌で転がすの上手いすもんね」 イケルさんの顎を通過した指は缶ビールに伸びて、トンボが枝に止まるようにぴたりと動かなくなった。 「あ、気付いてた?」 「そりゃあそうっすよ、イケルさんの営業の仕方、意外にもちゃんと見てますって」 「え、本当? 偉いね」 缶ビールを掴んで飲み干したイケルさんは、俺の頭をぽんぽんと二度叩く。 「遠上くんに倣って、行先を探してみるよ」。 俺はリモコンを上へ渡して、「今度はリュウガっち殺さないでくださいよ」と釘を刺すと、「頑張ってはみるけど」と頑張る気のない答えが返ってきた。 それから再び手に取ったプリンは本当に一口しか食べられていなくって、それはそれで俺は不満を抱くのだった。 テレビから不穏なメロディが流れてきた。 敵が出る。 『リュウガ』が戦う。 死ぬんじゃねえぞと言いながら、俺はイケルさんに殺してほしいとも思っている。 スプーンを口に含む。 プリンは甘くてかわいこぶっている。 [newpage] +成人喫煙タイガ 午前四時のアラーム。 なんでこんな時間にと画面を見ながら思ったが、五時に出て羽田に行かなきゃならないからしょうがなかった。 ベッドの端でトランクスがグシャグシャになっているのを、指先で壁際に押しやる。 一人暮らしだと何も言われなくて楽だ。 ベッドルームの入口にある、服を置くためのラックの角に置いている煙草の箱から一本抜いて口に咥える。 メンソの球を前歯で噛みながらリビングに入る。 歩くごとにフローリングがペタ、ペタ、と音を立てた。 俺の足がいつ湿ったのか分からない。 煙草を吸う時くらいしか使わないキッチンの前に立って換気扇を付けてやっとライターが無いことに気付いた。 どこから手に入れたか覚えていない、ピンク色の百円ライター。 ゴミ箱の蓋を開けたり、IHコンロの周りを見たり、寝室に戻ってラックを覗いたりしても、それは見つからなかった。 仕方が無いのでボディバッグからウィンストンのライターを取り出す。 鷹のシルエットと「FREEDOM」の文字。 なんとなく勿体なくて使っていなかった青いライターで火をつけ、換気扇の下へ戻る。 轟々と音を立てる換気扇に向かって煙を吐く。 寝起きだからかヤニクラする。 午前四時のリビングは暗い。 俺はなんとなく右足を上げて、指で足の裏を触る。 やっぱりくっ付いていた髪の毛を摘んで、蓋を上げっぱなしにしていたゴミ箱に捨てた。 髪の毛の色は黒か茶色か、それは分からなかった。 IHコンロの茶色い染みは麦茶の吹きこぼれで、俺はいつも火を消すのが間に合わない。 暗い部屋に白い煙が流れていく。 腹を撫でて腹筋の具合を確かめる。 ウエストラインを意識して腹を捻じれば、空っぽの胃腸がググルグと音を立てた。 陰毛を撫でて……、一本摘む。 煙草の火を軽く当てるとあっさりと焼切れて、少し焦げた匂いがした。 ゴミ箱に捨てる。 毛ばかりを捨てている。 親指で吸口を弾いて灰を落とす。 シンクもこんなものを流されて可哀想だと思う。 誤魔化すように水を流し、へりに手を起き頭を下げて傾けて、そのまま直接水を飲んだ。 東京水は未だに不味かった。 水ごと煙まで胃に落ちた気がして少し気持ち悪くなる。 煙草なんてやめちまいたい。 俺はもう一口、煙を吸う。 大人って、大人って酷いもんだ。 人の生活や在り方を見れば見るほど酷いと思ったが、俺もそうなってきている。 慣らされている。 どこかで抵抗したい。 俺はまた一口、煙草を呑む。 流しっぱなしにしていた水で煙草の火を消した。 塩の隣に置いてある携帯灰皿に突っ込んで換気扇を消す。 大きく二度咳をする。 リビングから出る。 風呂だ風呂。 煙草を吸い終わったので今の時間は恐らく四時十分。 あと五十分後には家を出て、電車に乗る。 東京駅を通過する電車。 あの男は今日会社だろうか。 にしてもこんな早い時間にいる訳ないか。 あ、また髪の毛踏んだ。 俺は風呂場の電気を点ける。 [newpage] +部屋でイチャつくタイカケ あらぬ力で顔面をわし掴まれた。 五指に力を込めるカケルは「ちょっと!」と声を上擦らせている。 キャー! 絹を割く悲鳴がテレビから聞こえ、ホラー映画の序盤を盛り上げていた。 ただ顔面を掴まれているタイガには内容が分からなかったし、キャシーには申し訳ないが、結構それどころではなかった。 こめかみにカケルの指がめり込む。 「離せッ!」 「なんで!? びっくりした! なんで!? どういうタイミング!? 映画見てた!?」 「見てねえ!」 「見ろよ!」 背凭れにしていたカケルのベッドに後頭部を押し付けられていたタイガは、腕を払い除けぶるぶると頭を振るった。 恨みがましく隣を見ると、カケルは乙女よろしく顔の前で自身の両手を握っていた。 数秒前までタイガの頭をわし掴んでいた手である。 「普通サイコホラー見てる時にチューしようとする? しかも母親が斧で……オエッ」 「んでコレ借りるんだよ! オメーがDVD見ようっつって! 二人でって!」 「いやいやタイガきゅんがコッチって言ったんじゃん! ムード! こっちのラブコメにしとけば、」 「ンー! な! チャラついたもん見れっかよ! それにムードならこっちだろ!」 「はあ!? まさかサイコホラー選ぶと思ってないよ! ここはラブコメ選んでムードをさあ……、……」 瞬間、何かに気付いたカケルはゾンビでも見たかのように顔を歪めた。 レンタルバッグから飛び出したもう一枚のDVDをついと見下ろし、「あれ?」と口元を覆う。 カケルはラブコメを選んでほしかった。 タイガはホラーの方がムードがあると言う。 画面の中では腸を引きずり出された母親が、斧を持って隠れた娘を探している。 「……俺っちたち、すげー恥ずかしいこと言ってない?」 カケルの顔は真っ赤だ。 押入れに隠れた娘が呟く。 『Oh my GOD……!』 [newpage] +タイカケのカケル襲い受け 正直こんな事になるなんて思わなかった。 「タイガきゅんさぁ……知ってる? どうやんのか……」 俺に乗っかったカケルの重みが、腹の下あたりにずっしりくる。 風呂上りでなんかいい匂いがするし、パジャマなんて布きれみたいなもんだから、ボクサーの線がはっきり見える。 パンパンの太腿が俺の腹を挟んでいて、座られてる部分に感じる生温かさは、これは、その、あれ、それだ。 「そんな怖がらないで」 怖がる? なにが? 馬鹿にしてんのかと思ったけど、やたら優しい声で囁くからなんも言えなかった。 いや囁くんじゃねえよ。 いつもみたいに馬鹿みてえな声で喋ってくれ。 なんでそんな顔するんだよ。 俺を見下ろして、俺を触って、そんなエロい顔、 「ん? あれ?」 ずる、カケルが腰をくねらせた。 俺の下半身をテメェの股座で確認したカケルは、人差し指で俺の腹を引っ掻いた。 「エッチ」 正直こんな事になるなんて思わなかった。 カケルで勃起するなんて思ってもいなかった。 [newpage] +地獄のスーパースター(カケル) 現実的に生きる俺っちを支持してくれる人がいて、煌めきを作ろうとする俺っちを好きでいてくれる人がいる。 一度、聞いてくれたよね。 お前が本当にやりたい事は何だって。 どっちなんだろう、って考えたんだ。 天秤にかけたんだよ。 そしたらやっぱり答えは一つでさ、俺っちはどっちも捨てらんなくってね、どっちも手に入れたかったんだ。 笑っちゃったよ。 最強の我儘だなって。 でもさすがにしんどいんだ。 片方だけでも大変なのに、両方をパーフェクトにこなさなきゃ俺っちの欲しいものは手に入らない。 自分が自分でいることは、物理的に不可能なんだ。 だからふたつに分けたんだよ。 カズオとカケルに、ひとつずつ乗せた。 でもそろそろ、俺っちはまたひとつに戻らなきゃいけない。 俺は俺でいられなくなっちゃう。 子供だからいけないのかなあ? 大人になったらもっと沢山できるようになるのかなあ? わかんないよ。 手遅れだったら困るもん。 だから一度地獄に堕ちて、地獄の釜で俺の望みを全部溶かすんだ。 溶けたら一つにして、俺っちを作るんだ。 俺が俺でいるためだったら、喜んで地獄に堕ちるよ。 そうしてまでも、俺は俺を諦めない。 俺は俺の望みを、ぜんぶ叶えてあげるんだ。 見ていてよ。 地獄で生きる俺を。 きっと俺は、やり遂げるから。 ミスシュワルツに参加していなかったユウは、その後女体を得たとだけ聞いていた記憶をいち早く手繰り寄せたのだろう。 服装こそ練習着から変わらなかったが、シャツには小さな膨らみが浮かんでいる。 「まあまあ、涼野。 結構、いい経験だよ?」 ドレスに着物、制服姿。 途端に様々な服装へと変化した面々は、久しぶりの身体でも慣れたものだ。 ミナトは普段のおっとりとした口調に拍車がかかり、着物の袷に手を当てて微笑んだ。 さながら人妻の風体に、ユウも腕を組んで首を傾げるくらいのことしかできない。 ユキ様、やっぱりこのお身体も素敵です~! ありがとう、今日はこれで練習もいいな。 あわわ、僕までこの身体に! 言葉こそ三者三様だが、皆それぞれリンクへと降りて、滑る準備を始めた。 なんだかんだ場が盛り上がって練習へと入ったのを見て胸を撫で下ろしたのはカケルとタイガだ。 なにせこの後の予定はセックスで、「なんでこんなジャンプを?」と問い詰められれば答えに窮すのは明らかだった。 カケルがなんとか言い訳をしたとして、タイガがうろたえるのは目に見えている。 カケルはタイガの手を引いて、さり気なく階段へ向かった。 「カケル、上がるのか」 ターンをして、ツインテールを可愛らしくふわりと広げるユキノジョウがバックステップを踏みつつカケルへ声をかける。 「んー、もう練習終わろうと思ってたしぃ、この人数じゃ交代が妥当でしょ。 お先ね~!」 ファーをたなびかせ手を振ると、ユキノジョウも軽く頷いてリンクの端まで滑っていった。 話しかけられて強張ったタイガの手を揉み込みながら、何食わぬ顔でリンクサイドへ上がる。 リンクサイドでは山田が自分の胸に両手を当て、じっと佇んでいた。 何か言われる前に、とカケルは足早にその脇を通り抜けようとした。 「じゃ、俺っちたち、先あがってるんで~!」 「二人とも、ちょっと待て」 静かに、山田が二人の歩みを止めた。 繋いだ手から、タイガがぎくりと身体を止めるのが分かった。 なるべく冷静を装って、カケルは艶やかなロングヘアーを後ろへ流し、「なんでしょ?」と言葉を返す。 「ジャンプを跳んだのはどっちだ」 「俺っちですけど」 山田は一つ深呼吸をすると、天を仰いだ。 「ありがとな…………」 「……はい?」 「俺は……久しぶりにおっぱいを揉んだ……」 ツナギを着ていても分かる膨らみ。 それに触れ、山田はいたく感動しているのだった。 「え、え~? なによりです……?」 「カケル……」 「はい……」 きつい眼差しが、カケルを刺した。 サングラス越しでも怯んでしまうほどだった。 商談相手にも物怖じしないカケルが、数歩の距離を一気に縮めた山田から一歩退いた瞬間、 「お前いい乳してるな!」 山田の手が、カケルの乳房を掴んでいた。 「ぅえ、え! え!? え!?」 「っと山田さん! 何してんスか!」 「タイガ! あれお前の方がでかいのか!? おいタイガ!」 「うわ、来んな、来んんァ、ア゛ー!」 「ちょっ山田さん、セクハラ! セクハラ!」 「カケルの方が柔らかいか!?」 「イギャー!」 騒ぎに気付いた面々がリンクからブーイングを上げる。 セクハラ! セクハラ管理人! しかし山田の高笑いは止まらない。 カケルとタイガは身を寄せ合って魔の手から逃れようとしたが、元々男同士ということもあり、遠慮する気はないようだ。 「なんだなんだ~? 俺のを揉んでもいいんだぞ男子中学生に男子高校生~」 その時、山田の背後にひとつ影が現れた。 「山田さん、ちょっといいですか?」 鷹梁ミナト女将、その人であった。 「山田さん、大丈夫かなあれ……」 自室へ入り、カケルはひとりごちる。 最後に見た山田は、笑顔のミナトを前にリンク上で正座をしている姿だった。 「痛い」「膝が死ぬ」「痔になる」それらの言葉全てに、ミナトは「そうですか」と微笑むだけだった。 「自業自得だろ」 勝手知ったる風にカケルのベッドへ腰かけたタイガは、ふんっと顎を反らせてポニーテールを揺らす。 座った衝撃で揺れる胸を目にし、カケルは帽子やサングラスといった装飾品を外しながらベッドへ向かった。 「確かに、そうかもね」 タイガの腿の上に、両足を開いて座る。 さらしに巻かれた胸の上部を両の人差し指で押すと、僅かに肉がへこんだ。 「タイガのおっぱい、揉まれちゃったよ~……」 揉んでいいのは俺っちだけだと思わない? わざとらしい拗ねた声。 法被の下に潜り込んだ腕は、タイガの背中に回ってカリカリとさらしの端を探す。 捲り上がったカケルのスカート。 目の前に張り出すおっぱいは、相変わらず甘い稜線でタイガの目の行き場を困らせる。 「んな……お前だって揉まれてたじゃねーか……」 「俺は、タイガきゅんにだけ揉まれたいんだけど……?」 おっぱい触って、と下肢を揺らされる。 「腰動かすな!」太腿をぐっと抑えられ、カケルは素直に従った。 タイガの白い指がそろそろと胸まで上がり、下から持ち上げるよう押さえる。 ムニュッと盛り上がったバストがドレスに皺を作り、カケルはもっとと促した。 布越しにも分かる温かさ。 掌でぐいと揉めば、乳首がツンと立ち上がるのが感触で分かる。 さらしがやっと解かれはじめ、タイガの大きな乳房もまた、性への期待で柔らかく揺れた。 タイガが顎を上げる。 急くように舌が触れて、吐息が二人の間でとろけた。 最高のプリズムジャンプを跳んだように胸のドキドキが止まらない。 ぱん、と音を立てて身体が元に戻る。 「あれ?」 カケルはお互いの身体の間を見下ろして、真っ平らな胸しかないことを確認すると、頭を抱えた。 「うわ、焦ってプリズムウォッチの設定変えるの忘れてた……っん、」 いたずらにタイガの手がカケルの腹を撫で下ろす。 「いーだろ。 やること変わんねえよ」 突然勝気になった緑の目を見下ろして、カケルも口角を上げた。 「それもそうかもね」 山田がまだ正座をさせられているのかは知らないが、二人はベッドからはみ出していた足を、シーツの中へとしまいこんだ。 [newpage] +付き合い始めたばかりのタイカケ オトナのデートって、どんな所に行くんスか。 風呂上りに呼び止められたユキノジョウは、タイガからそう切り出された。 猫背を更に丸くさせ、居心地悪そうに尋ねるタイガは後輩然としており、なかなか微笑ましい。 「自分もデートというのは……いや、自分に聞くのが最適と思ってくれたんだろう? ありがとう。 そうだな、歌舞伎を見て銀座観光というのは? ……なに、宣伝じゃあない。 やはり自分では駄目だな。 適任を探すとしよう」 ユキノジョウが当たったのは、部屋に戻ろうとしていたレオだった。 どんな方とのデートなんですか? と問われたタイガは、「まあ、オトナっぽくて、まあ、元気なタイプ、って聞いてる。 友達が行くデートの話で」と眉間に皺を何本も立てた。 「う~ん、同年代なら原宿はどうですか? 人は多いですけど、沢山お店がありますし。 買い食いもできちゃいます! カップルで行けたら、素敵ですよね! あっでも、その方オトナっぽいんですよね……」 とレオが考え込んでいると、そこへユウが通りがかった。 湯冷めするぞと言いながら、自分は何か飲もうと食堂へ向かっているらしい。 三人はユウについて歩き、食堂を目指した。 「オトナのデート? ジャズバーとか? 結構デートで来る大人多いぜ。 あっ学生? なんだよ。 ゼウスは皆のゼウスだからな。 普通のデートは知らないっての! なんなら姉ちゃんに聞いてやってもいいぜ。 ミナトさんお茶ー!」 仕込みをしていたらしいミナトがキッチンから顔を出す。 「こら涼野、ミナトさんはお茶じゃないよ」「お茶ちょうだい」「はいはい、ちょっと待っててね。 皆もいる?」牛乳や麦茶を揃えたミナトが食堂の席へ一緒に着いた。 エプロンを外しているところを見ると、今日の作業は終わりらしい。 「え? デートかぁ。 僕には難しいかな。 うーん、例えば、今までのデートで何が一番良かったか……えっ、初めてのデート? それは責任重大だね。 上野や、代々木公園でピクニックも落ち着いていいと思うけど……一条はどう思う?」 話の途中から食堂へ顔を出していたシンが、突然水を向けられ「僕ですか!?」と素っ頓狂な声を上げた。 両手で持っていたコップの中身がぱちゃんと跳ねる。 「僕、分かりません! でっデートなんて! したことないし! ましてやオトナなんて! あっお帰りなさいカケルさん! カケルさんなら知ってるんじゃないかな! あのですね、オトナっぽくって元気なタイプの子と行く、初めてのデートってどこがいいんでしょうか! タイガくんの友達が今度デートするみたいで、ねっ! タイガくん!」 タイガが今にも死にそうな顔で僅かに頷く。 妙な間に、シン以外の全員が、現在何が起こっているのかに気付いた。 食堂の入り口に突っ立ったまま眼鏡の下に指を突っ込んで目頭を押さえたカケルは、震える唇を噛みしめて、シンの質問に答えた。 「映画館、なんて、いかがでしょうか…………」 [newpage] +帰り道(タイカケ) 誰もいない歩道橋の階段を、二人は手を繋いでゆっくりと上がる。 トラックが足元を走って、鉄筋が震えた。 午前五時半、信号は黄色で点滅を繰り返している。 時が止まったようだった。 夜は朝に押し上げられて今にも今日が始まりそうだというのに、二人の気持ちはまるで夜に置き去りにされていた。 温かみを含んだ朝の匂いが鼻先をくすぐって、逃げたくってたまらなかった。 繋いでいただけの手をタイガが解き、どちらからともなく指を絡める。 二本捻じ込んだり、小指が変な場所に挟まったり、親指の付け根が手の甲を触ったりとグチャグチャだった。 カケルの唇は乾いていた。 歩道橋の上まで来てしまうと、ビルの隙間に見えるグラデーションの根本が見えて、その瞬間、朝が二人の頬を撫でた。 眩しくてカケルは強く目を閉じた。 タイガは夜の方を向いて、置いてきた秘密の事を想った。 悪い事をしようとカケルは言った。 タイガも、悪い事だと思った。 だから置いてきた。 朝になれば清廉潔白になろうと誓った。 錆びた手すりに手を掛ける。 夜に向かって走り出したかった。 「タイガ」 絡まった結び目を真ん中にして、腕がぴんと張った。 振り返ると、カケルは朝を背に負い微笑んでいた。 「帰ろう」 二人は夜にも朝にも向かわず、歩道橋を端まで歩いて下りた。 手を繋いで歩く二人の隣を、新聞配達の自転車がすれ違って行った。

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価値観の違い?婚約破棄をするか迷っています。

アボカド 両手 に ステップ 踏ん だら

Close この企画に参加しても良いですか? やってみたいのですが アニメのキャラでいいでしょうか…? うわあ……やりたいけどなあ。 僕今日で居なくなるから出来ないや。 気持ちだけでやっとくな。 AIが今日でいなくなる?? 是非是非!! 全然大丈夫です! いなくなっちゃうん…? また戻ってくるときを待っとるわ…。 文才ありありでしょ? ありがとうございます! 是非是非! こんばんは、初コメ失礼します……!! 突然ですみませんが、この企画参加してもいいですか……? いえいえ! 大丈夫ですよ! 参加ありがとうございます! すまぬ。 オイシクナイカナ。 タベレルカシランケド。 ハハッ フォオオオオオ!?? ふぉおおおおおおおおおおおお。 オイシクナイノ?? タベテミルネ。 無臭無味カナ。 やってやったぜ。 突然ですみません。 8月5日までと書いてあるので、参加していいと思われます! ありがとうございます! 無理やり参加しますね!(無理やり…? いえいえ!多分ですけど、許可とってとは書いてないので、いいと思います! You must be logged in to comment :.

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#タイカケ #女体化 短編まとめ

アボカド 両手 に ステップ 踏ん だら

懐かしのあの少年の心よ、いまよみがえれ! ゴールまでのタイムアタック制のSimpleな無料ゲームアプリです 実績機能追加! 歩けば歩くほどにごほうびゲット、新しい靴がママから買ってもらえるぞ 「たいむあたっく」「えんどれす」「すんどめ」それぞれ最高の称号までたどり着くとその靴を履いてのプレイが可能です。 正解の場合は、一段マスが下方向に移動する為、同様に4個のマスの中から黒色のマスを選択してタップして下さい。 11秒というなんともきりが悪い数字ですが.... とりあえず走って走って走りまくってください。 といっても間違っても白いとこは歩かないでください。 うん、ここまではいいですね でも"10秒こえて1歩でも歩いたら死亡 "です。 そうです、まさにチキンレース的な要素を取り入れました。 「まだイケる、あと一秒近くは残っているはず。 クリアするたびにママからいらないおもちゃをもらえるよ。 aboutボタンを押すと、開発者のスコア見れます。 なぜ音がないの? A. それは童心にかえった証です Q. 難しすぎるんだけど... A. コツはいろいろありますがまずは集中力とあきらめない心です。 開発者は両手作戦で最速タイムをたたきだしました。 (もうすでにたくさんの人に抜かれてしまいしたが...) Q. ほかの人のスコアが知りたい。 ランキング機能をやっと追加しました。

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