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次々と舎弟が去っていく……「愚連隊の帝王」はなぜ厄介者扱いされるようになったのか

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自称・加納の女 すべてが嘘だったわけではない。 かっこよくいえば、「愚連隊の帝王」加納貢の本質は自由と反骨精神にあった。 人生をファンタジーに昇華できたのもそのおかげである。 だが、この理想が綺麗事すぎて、すこぶるたちが悪い。 というか、青くさい。 あまりに理想主義的で、現実を生きていく力がないのだ。 特定の女を作らず、家庭を持たなかったのも、加納が束縛を嫌ったからだった。 言い換えれば、加納は責任を持ちたくなかった。 実際、彼は生涯独身を通し、家族を持たずに死んだ。 にもかかわらず、我が家に来ると『渡る世間は鬼ばかり』を欠かさず観ていた。 家族を捨て、家族を持たなかった加納が、家族内のゴタゴタをテーマにしたホームドラマにはまっていたのは、不思議な光景だった。 過去の女性関係を探る ネタにつまって加納の女関係を調べようとしたことがある。 手伝ってくれたのはボタンヌのママだった。 約束を取り付けてボタンヌに出かけると、なぜか加納が店に来ていた。 邪魔をしにきたのは明白だった。 加納に聞こえないようママに耳打ちした。 「P子さんが来る日にちをずらせませんか?」 「なんで?」 「だって加納さんがいれば、ほんとの話なんてしないでしょう」 「じゃあどうするの?」 「今日のところは加納さんを騙します」 「私にはちゃんと人間の底が見えるのよ。 何十年新宿で商売してると思うの。 あんたは小悪党ほどもいかない。 そんなことしても加納さんには通じない。 さっさとトイレいって鏡をみてごらんなさい。 com ママは空手なのか、少林寺拳法なのかわからぬ仕草で私をどやしつけ、今度は加納の横に座った。 「あらみっちゃん、今日はジュース? ちょっとは売り上げに貢献してくれないかしら。 ほら、ボタンとれてる。 脱ぎなさい。 うちは店がボタンなんだから。 ぎゃっ、はっ、ほっ」 「ああ……」 加納は言われるまま上着を脱いだ。 「鈴木君! トイレ、早くGO!」 トイレに行っている間、ママは加納を説得してくれていた。 加納は頑強に女関係を調べられるのは困る、と渋ったらしい。 私がトイレを出ても話が付かなかったようで、ママは片目をつぶり、片手をあげてちょっと待て! のポーズをしたあと、カモン! と人差し指をクイクイさせた。 「あんた、寿司買っといで!」 戻ってくるとおかあさんは、「ずっとお願いしたんだけど駄目だった」と肩を落とした。 結局P子さんには会えずじまいだった。

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自称・加納の女 すべてが嘘だったわけではない。 かっこよくいえば、「愚連隊の帝王」加納貢の本質は自由と反骨精神にあった。 人生をファンタジーに昇華できたのもそのおかげである。 だが、この理想が綺麗事すぎて、すこぶるたちが悪い。 というか、青くさい。 あまりに理想主義的で、現実を生きていく力がないのだ。 特定の女を作らず、家庭を持たなかったのも、加納が束縛を嫌ったからだった。 言い換えれば、加納は責任を持ちたくなかった。 実際、彼は生涯独身を通し、家族を持たずに死んだ。 にもかかわらず、我が家に来ると『渡る世間は鬼ばかり』を欠かさず観ていた。 家族を捨て、家族を持たなかった加納が、家族内のゴタゴタをテーマにしたホームドラマにはまっていたのは、不思議な光景だった。 過去の女性関係を探る ネタにつまって加納の女関係を調べようとしたことがある。 手伝ってくれたのはボタンヌのママだった。 約束を取り付けてボタンヌに出かけると、なぜか加納が店に来ていた。 邪魔をしにきたのは明白だった。 加納に聞こえないようママに耳打ちした。 「P子さんが来る日にちをずらせませんか?」 「なんで?」 「だって加納さんがいれば、ほんとの話なんてしないでしょう」 「じゃあどうするの?」 「今日のところは加納さんを騙します」 「私にはちゃんと人間の底が見えるのよ。 何十年新宿で商売してると思うの。 あんたは小悪党ほどもいかない。 そんなことしても加納さんには通じない。 さっさとトイレいって鏡をみてごらんなさい。 com ママは空手なのか、少林寺拳法なのかわからぬ仕草で私をどやしつけ、今度は加納の横に座った。 「あらみっちゃん、今日はジュース? ちょっとは売り上げに貢献してくれないかしら。 ほら、ボタンとれてる。 脱ぎなさい。 うちは店がボタンなんだから。 ぎゃっ、はっ、ほっ」 「ああ……」 加納は言われるまま上着を脱いだ。 「鈴木君! トイレ、早くGO!」 トイレに行っている間、ママは加納を説得してくれていた。 加納は頑強に女関係を調べられるのは困る、と渋ったらしい。 私がトイレを出ても話が付かなかったようで、ママは片目をつぶり、片手をあげてちょっと待て! のポーズをしたあと、カモン! と人差し指をクイクイさせた。 「あんた、寿司買っといで!」 戻ってくるとおかあさんは、「ずっとお願いしたんだけど駄目だった」と肩を落とした。 結局P子さんには会えずじまいだった。

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自称・加納の女 すべてが嘘だったわけではない。 かっこよくいえば、「愚連隊の帝王」加納貢の本質は自由と反骨精神にあった。 人生をファンタジーに昇華できたのもそのおかげである。 だが、この理想が綺麗事すぎて、すこぶるたちが悪い。 というか、青くさい。 あまりに理想主義的で、現実を生きていく力がないのだ。 特定の女を作らず、家庭を持たなかったのも、加納が束縛を嫌ったからだった。 言い換えれば、加納は責任を持ちたくなかった。 実際、彼は生涯独身を通し、家族を持たずに死んだ。 にもかかわらず、我が家に来ると『渡る世間は鬼ばかり』を欠かさず観ていた。 家族を捨て、家族を持たなかった加納が、家族内のゴタゴタをテーマにしたホームドラマにはまっていたのは、不思議な光景だった。 過去の女性関係を探る ネタにつまって加納の女関係を調べようとしたことがある。 手伝ってくれたのはボタンヌのママだった。 約束を取り付けてボタンヌに出かけると、なぜか加納が店に来ていた。 邪魔をしにきたのは明白だった。 加納に聞こえないようママに耳打ちした。 「P子さんが来る日にちをずらせませんか?」 「なんで?」 「だって加納さんがいれば、ほんとの話なんてしないでしょう」 「じゃあどうするの?」 「今日のところは加納さんを騙します」 「私にはちゃんと人間の底が見えるのよ。 何十年新宿で商売してると思うの。 あんたは小悪党ほどもいかない。 そんなことしても加納さんには通じない。 さっさとトイレいって鏡をみてごらんなさい。 com ママは空手なのか、少林寺拳法なのかわからぬ仕草で私をどやしつけ、今度は加納の横に座った。 「あらみっちゃん、今日はジュース? ちょっとは売り上げに貢献してくれないかしら。 ほら、ボタンとれてる。 脱ぎなさい。 うちは店がボタンなんだから。 ぎゃっ、はっ、ほっ」 「ああ……」 加納は言われるまま上着を脱いだ。 「鈴木君! トイレ、早くGO!」 トイレに行っている間、ママは加納を説得してくれていた。 加納は頑強に女関係を調べられるのは困る、と渋ったらしい。 私がトイレを出ても話が付かなかったようで、ママは片目をつぶり、片手をあげてちょっと待て! のポーズをしたあと、カモン! と人差し指をクイクイさせた。 「あんた、寿司買っといで!」 戻ってくるとおかあさんは、「ずっとお願いしたんだけど駄目だった」と肩を落とした。 結局P子さんには会えずじまいだった。

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